政府のGIGA(Global and Innovation Gateway for All)スクール構想で小中学生への1人1台のタブレット支給が進んでいます。しかし、現場では利用方法に自治体ごとの規制があったり、教師によって使用頻度に差があったりと、悩みを抱えているようです。『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』の著者で人気コンサルの永江一石さんの元には、iPadが支給されている横浜市の小学校教師から「iPad学習に期待すること」について意見を聞かせてほしいと相談が届きました。永江さんはタブレット利用で検索リテラシー向上に大きな期待を示しています。
世間が小学校のiPad学習に期待すること
Question
いつもありがとうございます。楽しく参加させていただいております。私は横浜市立の小学校で教員をしております。公務員ですので悩むことや考え方が皆様とは違うとは思いますが、目の前の子どもは将来その多くがビジネスに関わると思いますし、保護者の皆様と関わる度に、いろいろと考えさせられる日々を過ごしており、ぜひご意見をうかがいたく質問させていただきました。
さて、GIGA(Global and Innovation Gateway for All)スクール構想ということで、公立学校にも子どもたち1人1台iPadが導入されました。自治体によって差はあるかと思いますが、アカウントやアプリに対するお金もある程度かけています。個人的には「ようやくここまできた!」と思う部分と「とはいえ、まだこの辺はできないのか…」と葛藤しているところです。例えば家庭に端末を持ち帰れないとか、アカウントの制限につきアプリの使用の幅が限られてしまうなど。
前置きが長くなりましたが、このような状況になり、保護者の方のみならず多くの方が多少はiPadなどのタブレット端末が導入されたことでどのような教育効果、または変化を期待されていらっしゃるか気になります。文科省は学習指導要領でいろいろと謳っていますが、みなさんはどのようにご覧になっているでしょうか。
実は、学校や担任によってすでに使用する頻度や扱いに差がでてきていて、今後その差が広がっていくことになるのはよくないと思っています。ざっくりとした質問で申し訳ありませんが、ぜひ今後の参考にさせていただきたく、質問させていただきました。よろしくお願いいたします。
永江さんからの回答
iPadなどのタブレット学習に最も期待することは、子供が自らインターネットに触れ、疑問に思ったことをその場で検索できる機会が増える点です。「分からないことは自分で調べて解決する」という習慣を身につけるメリットは非常に大きく、将来の検索リテラシー向上にも繋がると思います。
わたしも数あるデバイスの中でiPadを最も愛用しており、InstagramなどのSNSはもちろん、映画や動画鑑賞もしますし外出時には仕事もしています。いま画面サイズもPCと大差なくなってきているのでiPadを1人1台支給というのはPCを1人1台与えているのとなんら変わりないんです。
その上でiPad学習の一番の利点は検索が容易にできることでしょう。今までなぜ?どうして?と疑問が浮かんでも親や教師などの周囲に聞くしかなかったのが、iPadがあれば世界中のあらゆるソースの中から子供自身で情報を取り出せますよね。
以前ブログに詳しく書きましたが、情報にはプッシュ型とプル型の2種類あり、テレビやラジオ・動画などが前者、新聞・雑誌・検索などが後者と分類できます。ネットサーフはプル型なので幼い頃から検索に慣れ親しむことのメリットは計り知れません。トラブルもあるかと思いますが親が介入できるうちに対処法を学んでおくと後々役に立つでしょう。
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よくスマホファーストといいますが、ネットサーフは画面の大きいタブレットの方が断然向いています。もちろん子供の家庭環境によって差はあるかと思いますが(親がテレビしか観ていないと子供もそうなってしまう)、好奇心旺盛で何にでも興味がある子にとってiPadは最高の相棒になると思います。
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