数年前、オーストラリアの40代の友人が秋葉原にある古風な自販機だけが置いてある一画で、弁当箱のような箱が簡易包装されているだけの商品を500円で買った。
開けると中身は100円もしないスナック菓子「たべっこ動物」で、たべっこ動物は白い紙に包まれ、その紙には政治的なメッセージが油性マジックでびっしりと書かれてあった。
包装紙の中身は何かと友人の中学生の息子と小学生の娘は緊張した様子だったが、その書かれてある言葉が主張したい人の個人的な政治的メッセージだと翻訳すると、落胆したような顔で「なんでそんなの買ったんだ」と母親に嘆くが、母親は一言。
「うるさい、私のお金よ」。
この母親は自分のお金で、いかがわしい秋葉原の一画で日本のレアな文化体験を買ったのだから、満足であろう。
息子にとってはポケモンのグッズの1つでも買えたと思っているかもしれない。
そして、私にとってこの経験は、私が一生買うことのないいかがわしい自販機の体験を得て、その時代の文化を享受することができたので感謝しかない。
お金は難しい。
少なくとも感謝とお金をセットで考えていきたい。
世の中をやさしい視点で描く引地達也さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ
image by: Shutterstock.com
ページ: 1 2