ほとんどの経営者がたどり着けぬ、松下幸之助「人使い」の真意

 

トヨタの中興の祖の石田退三さんの言っていることを再確認します。「事業は人にある。いかなる事業でも、それをいっそう大きく伸ばして築き上げて行くためには、なによりも先、いわゆる『人づくり』が基本となって行かねばならぬものだ」と述べ、さらに、人づくりのやりかたおよびねらいについては、「トヨタでは“シシの子教育”という手を使って社員をきたえている。現場にせよ、事務仕事にせよ、若くて有望なのがいたら、本人がネをあげるほどつぎからつぎへと問題を与える。どこまでやれるか可能性をはかってみる。ちょうどシシがわが子を谷底に落とすのと同じで、そこからはいあがる根性を養うのがねらいである。しぜん、自分なりの信念をもつ社員が多くなる」と続けています。

このように“成果を実現し存続・成長する”ために求められる問い、つまり「われわれの事業は何か」ということに共通する定義は、あるべき「よりよく顧客に貢献できる“われわれ使命”」を見つけ、そしてその指針のもとに考え、実行、実現させる「人づくり」を行うということに尽きるのではないかと思うのです。

ここまで話をすすめてきて、一応「われわれの事業は何か」についての回答と、その構造基盤が理解できそうだと思うのですが。それでは、具体的に示せとなるのでしょうが、何しろドラッカーが「企業の成功は、その問いに対する答えを考え、明確にすることによってもたらされている」と言っているのですから。

それでは、経営者の責任である「『われわれの事業は何か』という問いに対する答えを考え、明確にする」についてですが、後戻り感があるのですが「顧客や時代の欲求からスタートする」以外にヒントはなくて、それは経営者自身の「独創、独裁」に委ねられます。経営者がこの責任に答えられたら、企業の成功が見えてくるのです。

その「独創、独裁」が“原理・原則”に沿うときに、大方において企業の成功が適えられるということになりそうです。

松下幸之助さんは「われわれの事業は何か」について、突き詰めてズバリ「人をつくる」ということを唱えていますが、付言として「この人をつくる」は、ほとんどの経営者においてその真意は理解されることが少なく、それゆえに“顧客満足”は満たされることなく“競争”から脱落して“限界的存在”となり消え去ります。

print
いま読まれてます

  • ほとんどの経営者がたどり着けぬ、松下幸之助「人使い」の真意
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け