政府とマスコミが奪った「日常生活」を取り戻すためには何をすべきか?

 

2.日常生活を止めると巨額の損失が生じる

この高度に組織化され、自律的に動いている日常生活を政府は簡単に止めてしまった。コロナ感染の初期の段階で、大型商業施設や映画館、飲食店等を長期的に休業させ、多くのイベントも休止させた。会社の通勤も制限し、学校も休校にした。

その後も1年半以上、緊急事態や蔓延防止等を繰り返し、日常生活は大きく制限されている。この間の経済的喪失は計り知れない。市民全てが自律的に動いていた社会が何度も止められたのである。

その間の在庫、家賃、経費が利益を圧迫し、サプライチェーン全体が大きなダメージを受けている。例えば、飲食店の売上が減少すれば、飲食店だけでなく卸し業者も生産者も売上が減少する。それに関係する物流も減るし、従業員の雇用も削られる。

昔は、現在よりも流通が複雑で流通在庫も多かった分、調整もしやすかった。しかし現在は、流通を短縮し、流通在庫を減らし、全てをフローで賄うようになっている。フローで賄う流通のフローを止めたら、全ての計画が狂うことになる。計画が立てられないということは、無駄が増えるということだし、ギリギリでバランスを取っていた流通は崩壊の危機にある。

例えば、アパレル業界は、店頭を週単位で管理し、原材料の仕入れから縫製加工、物流をコントロールしていた。しかし、3カ月店頭が閉鎖されれば、1シーズンの商品、原材料、縫製等が全てストップしてしまう。これを完全にビフォーコロナの状態に戻すには、コロナが終息してから半年はかかるだろう。しかし、多くの企業はコロナが終息するまで待つことはできない。赤字は増え続け、事業の縮小やリストラも進むはずだ。最早、以前の状態には戻らないのである。

同様のことは、飲食業にも観光業にもホテル業にも起こっているはずだ。そして、これらの損失はどこにも計上されない。各社が内部留保を切り崩し、資金繰りの借り入れを増やし、リストラをしても、それが表面化するには時間がかかるのだ。

公務員やサラリーマンは、給料が保証されている。だから、社会全体の動きを見ないし、関心もない。会社が再開すれば、直ぐに元に戻ると考えるだろう。しかし、会社が休業した間の損失はそっくり残っている。そして、多くの企業はその穴を埋められないのである。

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