想像を超えるヤンチャぶりで、周囲に騒動を巻き起こしていた父親のエピソードを毎回紹介してくれるメルマガ『ファンキー過ぎる家族がいてもマジメに生きてる娘の話』。著者のミーミーさんが今回披露してくれるのは、車での送り迎えを嬉々としてするほど“運転好き”だった父の困った「冒険癖」エピソード。カーナビなどなかった時代を知る人にとっては少し懐かしい感じがするかもしれない思い出話です。
父の「笑った!困った!驚いた!」エピソード:冒険はモテの秘訣
父は車の運転が好きでした。「好き」というよりも、今考えてみるとこれが父のモテる要因の1つかもしれないのですが、「いつでもどこでもマメに送迎する力」に秀でておりました。
家族や友人、知人、もちろん多くの女性たちのことも「送り迎え」することを苦にしません。別にこちらから頼まずとも「乗せてったるわー」「迎えにいったるわー」「終わるまでここで待っといたるわー」と言って、いつなんどきもニコニコして送迎してくれました。
ありがたかったのですが、そんな父が送迎してくれる時、1つだけ困ったことがあったのです。それは「方向音痴なのに冒険したがること」。
運転途中にすぐ冒険をして新しい近道を探そうとします。「こっちは急いでるんだから正規のルートで頼みます!」という時にも「あっちから行ってみたらどうやろう?」「おっ!こんな細い道があったんかいな!もしかしたものすごい近道かもしれへん!」と、常にきょろきょろ回り道をしてわからなくなるという…。そして、まあ、その冒険は失敗します。確実に正規のルートが速いはず。「急がばまわれ」とはこのことだな、と父の運転を見ながら何度思ったことか。
まだね、冒険も「帰り道」なら良いんですよ。約束の時間のない帰り道ならこちらもその冒険とやらに付き合う広い心がありますが、朝の「遅れたくない」大事な時にも冒険するので常にヒヤヒヤさせられました。
一度、母が腰の骨を折って車で15分くらいの病院に入院したことがあるのですが、何度「あの病院に行くにはただひたすらにまっすぐ行くのが一番近い。多分10分くらいで着くはず」と伝えても、「いや、あの病院に行くにはここから入り込んで、そんであそこで曲がって、ほんであそこの道に出るのが一番近い」と言って譲らなかったことがあります。父の推奨する「近道」は15分でいけるところ20分から25分くらいかかっていて、いつも私はうんざりしていました。
ある日、その病院からの帰り道。いつもの父推奨ルートで遠回りで帰ろうとしていたところ、父はトイレに行きたくなりました。お腹が痛くて早く家に帰りつきたい。こんな時、父はどんなルートで帰るのだろうと助手席でソワソワして見ていたら、あんなに私が説明しても聞かなかった「ただまっすぐ行くのが一番近い」ルートをびゅーっと行って、なんと5分ほどで家にたどり着きました。
父よ…自分が急いでいる時にはちゃんと冒険しないで速いルートを行けるんだね。なぜいつも私が急いでいる時に冒険をするんだい。送り迎えしてくれるのはありがたかったけど、常に冒険に付き合わされるという、困ったお話でした。
多分…私を乗せて冒険した結果集めたデータで、女性に近道を披露して格好つけてたんじゃないかなと思っております。近道を知っていた方が「モテる」のかな?
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