「菅では無理」見切りをつけた二階幹事長が石破を担ぐ自民のカオス

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菅首相を始め、現在4名が出馬を表明している自民党総裁選。党最高権力者とも言われる二階俊博幹事長は「菅支持」を明言していますが、同氏が率いる派閥の若手議員たちから異論が噴出するなど、波乱含みの展開となっています。いわゆる「フルスペック」で行われる今回の総裁選を、識者はどう見るのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では著者でジャーナリストの高野孟さんが、菅首相の再選がほぼありえないどころか総裁選告示前の「退陣」の可能性すらあると指摘。さらに前回の総裁選で惨敗を喫した石破茂元幹事長を二階氏が担ぐ、との仰天情報を紹介しています。

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※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2021年8月30日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

菅義偉政権の終わりが「見えてきた」/自民党総裁選の意外な目は石破茂元幹事長か!?

菅義偉内閣の支持率は、毎日新聞が8月29日発表した調査で、前月より4ポイント下げて「26%」と最低を記録した。医療崩壊の不安を感じる人が70%に達しており、同内閣のコロナ対応の失敗による感染爆発の拡大、それにもかかわらずオリ・パラを強行して国民の目をそちらに逸させて自分の政治生命を救おうという悪あがきが、国民からすっかりお見通しとなってしまったということだろう。

内閣支持率が30%を切り、しかも29とか28ではなく25%前後にまで下がるというのは、それ自体、内閣がいつ倒れてもおかしくない危険水域に完全に突入していることを意味する。そればかりか、この調査のもう1つの注目点は自民党支持率が前回から2ポイント下げて26%にまで落ちたことである。

かつて“参院のドン”と呼ばれた青木幹雄=元自民党参議院議員会長が言う「青木方程式」というものがあり、それは「内閣支持率と自民党支持率を足して50%を切ると必ず内閣は倒れる」というもの。別に理論的根拠のあることではなく、政局の直感的な読み筋としてその辺が判断の分かれ目だということなのだろうが、それが今回26+26=52で、すでにギリギリのところに来ていることが分かる。

「菅プッツン」の可能性はあるのか?

自民党総裁選は9月17日告示、29日投開票で行われることが決まった。ということは、菅が思い描いてきた政権延命策――ワクチン接種が進めば感染は鎮まり、その流れの中でオリ・パラを実施すれば国民は夢中になり、雰囲気が変わる。そこで9月のパラ閉会式に踵を接して総選挙を打ち、現有276議席の自民党が30~40議席減らしても単独過半数233を割らないラインで止まれば、「健闘した」という話に収め、自民党総裁選は無投票再選、そこから先は長期政権を目指すという希望的観測だけで構築された夢が、粉々に砕け散ったということである。

そこで、これから9月17日までの間に起こりうることとして視野に入れておかなければならないのは、菅のプッツンの可能性である。彼の精神状態はすでに極限に達していて、官邸周辺から漏れ伝わる情報を総合すると……、

▼特に横浜市長選の惨敗が見えてきたことで逆上して、現地指揮官の坂井学官房副長官を「何で負けているんだ」「総理である俺が全面支援しているのになぜ票が逃げるんだ」と怒鳴り上げていた。周りからすれば「あなたが全面支援しているから負けるんですよ」と言いたいところだが、菅はそこがまるで分かっていない。

▼菅は、兄弟のような関係にある小此木が「IR反対」で出馬するという事態を巧く理解できず、とりあえず自分の地元である横浜市で自分の息のかからない市長が誕生することだけは避けようと小此木の背中にのし掛かった。が、その際まさか「私もIR反対だ」とは言えないので、それには触れないようにした。すると野党候補は当然、「小此木は隠れIR推進派で、もし当選したらコロリ転向するに決まっている」と攻撃する。だから票が離れていく。

▼ところが菅の“権力観”は幼稚極まりないもので、最高権力者である俺がこうしろと言っているのにそうならないのは世の中のほうが間違っていると考え、周りに「俺が言っているんだからその通りにしろ」「逆らう奴は異動だ」と怒鳴りまくるので、もう誰もついていけなくなっている。

▼どうして何もかもが思い通りにならないのか理解出来ないので、本人ももうヘトヘトで、執務室で一人になった途端に眠りこけてしまうこともある。

この有り様なので、9月5日にパラが閉会した直後のタイミングで「退陣」もしくは「総裁選不出馬」を表明する可能性もないとは言えないと、ベテラン政治記者は予測する。

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