衆院選は過半数割れか?お膝元の大惨敗で見えた菅自民「屈辱の下野」

arata20210826
 

先日掲載の「仁義を欠いた菅首相の自業自得。横浜市長選で最側近が落選の大誤算」でもお伝えしたとおり、お膝元の横浜市で行われた市長選で全面支援した小此木八郎氏が大惨敗を喫し、窮地に立たされた菅首相。秋までに行われる衆院選の顔として機能しないことが決定的になったと言っても過言ではありませんが、これから先、政局はどう動くのでしょうか。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、自民党総裁選と総選挙についての自身の見立てを解説。さらに菅首相にできる「自民党と自らを救う究極の道」を記しています。

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横浜市長選で噴出した菅首相への不満。どうなる今後の政局

新型コロナに感染しても入院すらできず、放置されたまま亡くなる人がいる。他の病気で苦しむ患者も手術延期などの不運に見舞われる。医療先進国といわれる日本で、あってはならないことが起きている。

菅首相の不徹底かつ説明不十分なコロナ対策への怒りが、横浜市長選の結果となって噴出したということだろうか。立憲民主党推薦の元横浜市立大教授、山中竹春氏が圧勝し、菅首相が全面支援した前国家公安委員長、小此木八郎氏らを退けた。

予想をはるかに上回る大差だった。投票率も前回より格段にアップした。市民を投票に向かわせたエネルギーは、何だったのか。

コロナ対策に訴えを絞った山中氏を選びたかったから。それもある。だが、それより「なぜコロナ対策を理解してくれないのか」と国民のせいにして訝る菅首相への苛立ちだろう。理解されるよう、記者の質問に正面から答えてきたか、と問いたい人は多いのではないか。

ふつうなら、小此木氏が負けるはずのない戦いだった。小此木陣営の見込みに反して現職の林文子氏が出馬し、自民党横浜市連が分裂したとはいえ、小此木氏には菅首相の後ろ盾があるのだ。事実、選挙戦の序盤は、小此木氏がリードしていた。

ところが、途中で潮目が大きく変わる。「衆院議員菅義偉」の名で小此木氏支持を訴える手紙を横浜市内の企業に送付したり、和泉洋人首相補佐官がゼネコン各社に電話攻勢をかけるなど、菅首相の強い関与が印象づけられる情報が広がるにつれ、波が引くように、小此木氏は劣勢になっていった。

そしてついに、金城湯池であったはずの横浜市政を立憲推薦の素人政治家に奪われた。菅首相の屈辱感たるや、想像に絶する。皮肉なことに、菅氏は首相になったばかりに、政治家としての限界を露呈してしまったのだ。

菅首相の全面支援を受けて、惨敗した。この事実に落ち着いていられるのは、よほど集票力に自信のある議員だろう。

衆議院選を間近に控えた自民党議員から見ると、すでに漂っていた「菅首相で選挙は戦えない」という空気が、横浜市長選の結果として可視化されたようなものだ。

菅首相は横浜市長選の結果について、淡々と語った。「市民の皆さんが市政が抱えているコロナ問題とか、さまざまな課題について、ご判断をされたわけでありますから、そこは謙虚に受け止めたい」

あくまで地方選の話と言いたいのだろう。冷静さを装いながらも、迫る衆議院総選挙と切り離したい意図がにじむ。

周知の通り、菅首相は8月20日から、新たに京都など7府県を緊急事態宣言、宮城県など10県をまん延防止等重点措置の対象に加え、すでに緊急事態下にある6都府県と重点措置6道県について期間を延長すると発表した。

すべて期限は9月12日までと揃えたのは、自民党総裁選の日程が9月17日告示、29日投開票の線で固まりつつあるからだ。

9月12日で宣言を解除し、総裁選告示前に衆議院の「解散」を閣議決定する。その時間的余地を確保するための日程調整をしたにすぎない。医学的根拠があるわけでは毛頭ない。

「解散」を決定するだけで、総裁選はいったん凍結して先送りできる。そして、総選挙を実施して、無投票で総裁再選を狙うという菅首相のプラン自体は維持できる。

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