問題の本質がわかれば答えもわかる
アクティブリスニングは、あくまで「聞くスキル」「少しだけ丁寧な聞き方」と思っておられる方も多いかもしれません。私も最初はそう思っていました。ところが、自分でアクティブリスニングを繰り返すうちに、決してそうではないことに気づきました。問題の本質が見えるだけではなく、どうすべきかが自然に浮かぶようになったからです。
話を聞き、次々に質問し、答えていただくなかで問題の本質が浮かび上がってきますが、それとほぼ同時に、「そうか、なるほど。そういうことだったのか。それだったらこうすればいいのでは?」ということが一瞬のうちに見えるようになります。問題の本質を見抜けると、何が問題で、それがどのように悪さをしているかが手にとるようにわかります。「あるべきものがない」「すべきことが邪魔されている」などがわかるので、「であれば、こうすれば解決できるのではないか」ということが見えてくる、という状況です。
話をした結果、問題の本質がわかれば、多くの場合は答えも浮かび上がってきます。人間の能力は高いので、問題を正しく認識すると、「それではどうすべきか」という答えが頭に浮かぶからです。
たとえば、「仕事が多すぎてどうにも回らない、ミスも増えた」と嘆く、管理職をやっている友人の話を聞いていると、問題の本質は仕事が多すぎることではなく、部下に適切な指示を出していないために二度手間、三度手間が発生していること、遂行上の助言もしていないことなどがわかります。
そこまでわかれば、指示はタスクシートなどの書面で伝えることでミスが一気に減ること、手戻りがなくなるので時間が浮いて、前向きな助言やコーチングもできるようになることが見えてきます。
また、「他部署との連携がうまくできない」と悩んでいる後輩の話を聞くことで、問題の本質は連携上のコミュニケーション不足ではなく、各部署の役割の重複にあること、そのためにどのように気をつかっても毎回衝突や干渉が起きることがわかりました。そこまでわかれば、他部署とのコミュニケーションを改善する以前の問題として、本部長を巻き込んで、一部の役割の見直しを行うことで、部署間の役割分担を整理し、連携もできそうなことが見えてくるのです。
(メルマガ『『ゼロ秒思考』赤羽雄二の「成長を加速する人生相談」』2021年8月30日号より一部抜粋。全文はメルマガ『『ゼロ秒思考』赤羽雄二の「成長を加速する人生相談」』を購読するとお読みいただけます)
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