<就職・転職(起業)>
ここで心がけるべきは、生涯のゴール、夢の実現は、遠い先の話で、時代は変わるということです。現在人気があるジャンルではなく、10年後20年後に本格化しそうなジャンル、それもニッチで競争が少ないジャンルを選ぶ必要があるのです。
例えば、私が大学卒業をした1980年代は、成績が優秀な学生ほど、都市銀行や大手生損保に就職しましたが、就職した時のままの社名で、すなわち合併なしで生き残れた会社はありませんでした。逆に、もしも、当時まだ花札メーカーのイメージが強かった任天堂に就職していたら、今頃どうなっていたでしょうか?あるいはマイクロソフトに就職していたら?
当然、こうした新しいジャンルは怪しく見えるので、親や家族の賛成は得られないでしょう。多くの場合、親は保守的なので、今のところ一番調子がよく人気のある業種や会社を勧めるものです。しかし、今一番いいということはこれから落ち目になるということ。だから、私も子供たちには、私が勧めるような会社には行くなと伝えております。
私自身の経験では、わけがわからない、好きでもないようなジャンルに踏み出すのがおすすめです。なまじ好きなことを仕事にすると、理想と現実のギャップに直面して思うようにいかずストレスがたまることも多いのです。結婚式までが一番熱く燃えていて成田離婚してしまう恋愛結婚のようなものです。
私の場合、ゲーム嫌いなのにゲーム会社に就職したり、株嫌いなのに証券会社に転職したり、予期せぬ職業につきました。期待値ゼロで好きでもないジャンルの仕事に臨んだ結果、修羅場続きではありましたが、思いがけず面白いことを見つけたり、もともと好きで詳しい人よりも柔軟で斬新な発想ができたりしました。そして、30年後の今、そのキャリアがじわじわ効いてきた上、多種多様な人脈ができ助けてくれたので驚いているのです。仕事選びも、実はお見合い結婚の方が、結果として少しずつお互いの良さがわかって、長持ちするのかもしれません。(この記事は『久米信行ゼミ「オトナのための学び道楽」』2021年3月2日号の一部抜粋です。続きは定期購読にご登録の上、バックナンバーをお求めください。初月無料です)
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