みずほ銀システム障害は「接待漬け」の結果。世界的エンジニアが読み解く根本原因

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今年に入って実に7回ものシステム障害に見舞われている、日本3大メガバンクの一角「みずほ銀行」。前回、「みずほ銀トラブル多発は「絶好のビジネスチャンス」当事者意識の欠如、トップ無理解どう克服?」で、読者からの質問に答える形でみずほ銀トラブルの背景や原因を考察した、メルマガ『週刊 Life is beautiful』の著者で「Windows95を設計した日本人」として知られる米シアトル在住の中島聡さん。今回、中島さんはメルマガ内の「私の目に止まった記事」のコーナーで、ネットメディアが掲載したみずほ銀システム障害に関する検証記事を読みながら、その原因と思われる日本のITゼネコンのあり方と丸投げ体質を批判し、根本原因を分析しています。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

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私の目に止まった記事:みずほ銀システム障害の背景

これから「みずほ銀行」に起こる、ヤバすぎる現実…システムの「爆弾」を誰も処理できない(週刊現代)

みずほ銀行が起こしているシステム障害についての分かりやすい解説記事です。重要なのは以下の点です。

統合時、みずほは旧3行が使っていた複数の異なるシステムを生き残らせたまま、「ゲートウェイ・システム」と呼ばれる中継プログラムでそれらを繋ぎ合わせるという方針を打ち出した。

 

だが、この建て付けそのものに難があった。当時の事情を知るみずほ行員が言う。

 

「勧銀は富士通製のメインフレーム(大型コンピュータ)の『STEPS』を’88年に導入していました。また興銀は日立製のシステム『C-base』を、富士銀行は日本IBM製の『TOP』をそれぞれ持っていた。

 

普通、銀行が合併してシステムを統合する時は、顧客や預金などの情報をどれか一つのシステムに全て移行する『片寄せ』という方法を取ります。

 

しかし、みずほは合併後も『同じ担当の役員が3人いる』と揶揄されるくらい、よく言えば旧3行が対等、悪く言えばバラバラだった。そのため、各行のシステム、ひいてはベンダーとの取引を温存しようとしたのです」

統合前にそれぞれの銀行が、別々のITゼネコンにシステムを作らせていたので、本来ならば一つのシステムに統合すべきだったのに、それぞれのシステム部門とITゼネコンが強く癒着していたために、どれも切ることが出来ず、ゲートウェイを通じて3つのシステムも無理矢理繋げて使い続けることを決めたとのことです。

ITゼネコンが銀行のシステム部門の人を接待漬けにしたり、天下り先を提供することにより、強い癒着関係を築いていたようです。これは決して、金融業界に限った話ではなく、日本ではこんな慣習は、政府を筆頭にあらゆるところにはびこっており、これが国全体の生産効率を下げており、ITゼネコンから国際競争力を奪っているのです。

私の学校の同期でも、理工学部の修士号を持ちながらも銀行のシステム部門に就職し、プログラムも書かずに接待営業や下請けベンダーの管理ばかりしている人間がいますが、本当にもったいない話です。

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