日本人を貧乏にした「トヨタ」の大罪。元国税が暴く“賃金据え置き”の悪影響

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前回記事の「なぜ日本人の給料は韓国人より年間38万円分も少なくなったのか?」で、実質賃金が韓国より少なくなった事実を伝えた元国税調査官の大村大次郎さん。今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では、この20年、日本のサラリーマンの給料が先進国の中でほぼ唯一下がっていく流れを作った、日本を代表する企業・トヨタが犯した大罪とも言える賃金据え置きの実態を明らかにします。結果として、日本人が貧しくなってしまったことは、トヨタ自身の首を締めることにもなっていると賃上げの重要性を改めて訴えています。

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』の2021年10月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール大村大次郎おおむらおおじろう
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。

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日本の賃金が下がったのはトヨタのせい?

前号では、この20年で、日本は先進国でほぼ唯一賃金が下がった国になっており、昨今ではついに韓国に実質賃金で抜かれてしまったということをご紹介しました。そして、それは国の賃金下げ推奨政策、財界の強力な働きかけなどがあったからだ、と。今回は、どういう形で日本の賃金が下がっていったのか、その具体的な例をご紹介したいと思います。

日本の賃金が下がった要因として、もっとも顕著な例はトヨタだといえます。トヨタは正社員の賃下げこそしていませんが、非正規雇用を急激に増やし、大きな利益が出続けているにも関わらず、ベースアップをしませんでした。日本企業の賃金の低さが問題視されるようになったここ数年は、トヨタもベースアップをするようになりました。が、平成時代を通じて、トヨタのベースアップはわずかなものでした。

下の表は、2002年から2015年までのトヨタのベースアップの推移です。トヨタは、この14年間のうち、ベースアップしたのは、わずか6年だけです。特に2003年から2005年までの5年間、ベースアップをまったくしなかった罪は大きいといえます。

トヨタは2000年代以降、過去最高収益を何度も更新していますし、2004年に過去最高収益を上げています。にもかかわらず、ベースアップがなかったのです。

トヨタのベースアップ額の推移
           ベースアップ額
平成14(2002)年   1000円
平成15(2003)年   0
平成16(2004)年   0
平成17(2005)年   0
平成18(2006)年   1000円
平成19(2007)年   1000円
平成20(2008)年   1000円
平成21(2009)年   0
平成22(2010)年   0
平成23(2011)年   0
平成24(2012)年   0
平成25(2013)年   0
平成26(2014)年   2700円
平成27(2015)年   4000円

また2015年は、円安などによる好業績のため、史上最高額のベースアップをしたとして話題になりました。が、この年は消費税が増税になっており、ベースアップの4千円という額は、賃金の1.1%程度に過ぎません。ということは、消費税アップ分にも足らないということです。つまり従業員側から見れば、この年も実質的には減収となっているのです。

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