「中国海軍は米軍に勝てる説」について
こう書くと、「ていうか中国軍はすでに米軍より強いですよ」という人がいます。実をいうと、そう考える根拠もあります。
2020年9月、アメリカ国防総省は、「中国の軍事力についての年次報告書」を出しました。ここで、中国の海軍力はアメリカを凌駕し、中国は「世界最大の海軍を保有している」と発表しました。また、アメリカ海軍大学やランド研究所のシミュレーションで、中国が台湾に侵攻した場合、中国海軍が勝つという結果がでました。
このショッキングな報告について、世界一の大戦略家ルトワックさんはどう考えているのでしょうか?彼は、これらのシミュレーションの唯一の目的は、「もっと艦船を買う必要がある」と議会に説得することだといいます。要は、「金を引き出すためのシミュレーションだ」と。
では、アメリカ海軍は中国海軍に勝てるのでしょうか。ルトワックは、「必ず勝てる」と断言します。その理由は、何でしょうか?彼は新刊『ラストエンペラー習近平 ルトワック』の中で、以下のように書いています。
ここではひとつだけ重要な事実を指摘したい。国防総省のいう「世界一の海軍」とは艦船の数などを指しているが、アメリカの攻撃型原子力潜水艦がたった3隻あれば、台湾海峡のすべての中国艦船を撃沈できるということだ。
原潜だけでなく、総合的な海軍力でいえば、アメリカが圧倒的であることは疑いがない。たとえば空母に関しては、今後30年、何の対策を打たなかったとしても、アメリカの優位は変わらないだろう。これは戦闘機同士の戦いでも同様だ。
中国もアメリカもそれはよく分かっている。だから軍事力による直接的な衝突の可能性は、現時点ではきわめて低い。
こんな状況で、さらにバイデンの「台湾を中国から守る宣言」が出された。習近平は、「米軍がでてくるのか。これは侵攻しずらくなったぞ…」と焦燥していることでしょう。
バイデンの「歴史的発言」。アグレッシブに感じる人もいるかもしれません。しかし、彼の宣言で、世界は「より平和」になった。バイデンは、たった一言で「バランスオブパワー」を回復させたのです。
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