バイデンが歴史的発言「米は中国の攻撃から台湾を守る」の衝撃度

 

台湾有事の際、アメリカは、中国から台湾を守る宣言

バイデン大統領が、「台湾が中国に攻撃されたら、アメリカは台湾を防衛する」と宣言したのです。ブルームバーグ、10月22日を見てみましょう。

バイデン米大統領は21日、米国には台湾を守るコミットメントがあり、台湾が中国から攻撃を受けた場合には米国は防衛に向かうと表明した。

もう少し詳しく。

バイデン大統領はCNNがメリーランド州ボルティモアで開いたタウンホール集会で、「中国は米国が世界最強の軍を有することを知っている」と述べ、懸念するのは中国が深刻な間違いを犯しかねない活動に従事していることだと付け加えた。

 

中国が台湾を攻撃しようとした場合、台湾防衛に向かうのかと強く問われた大統領は、「イエスだ。われわれにはそうするコミットメントがある」と明言した。

私はこの発言を【歴史的だ】と考えています。なぜでしょうか?アメリカはこれまで、「台湾有事の際、アメリカが中国から台湾を守る」と宣言したことがなかったからです。

アメリカは1970年代、ソ連に対抗するため、中国と事実上の同盟関係になる選択をしました。1979年、アメリカは台湾と断交し、中国と国交を正常化させた。アメリカは以後、中国が台湾に侵攻した際どう動くのか、はっきりした態度を示さなかったのです。もし「守る」といえば、米中関係は悪化し、「対ソ連同盟」が機能しなくなるでしょう。

1991年末、ソ連は崩壊しました。だから、米中関係は「対ソ連同盟」ではなくなった。しかし、1993年から米中関係は、「金儲け同盟」に転化。アメリカを牛耳る「国際金融資本」は、世界一の人口を持ち、なおかつ極貧の中国を育てることで、「大儲けできる」と考えた。そして、実際彼らは大儲けしたのです。

では、70年代末から現在に至るまで、なぜ「台湾を守らない」と断言しなかったのでしょうか?そうなると、中国は安心して台湾に侵攻し、武力によって強制併合を成し遂げるでしょう。アメリカは、地政学的に重要な位置にある「民主主義国家」台湾を、完全に捨てることもできなかったのです。それで、「あいまい戦略」でこれまで来た。

ところがバイデンは、この「あいまい戦略」を捨て去り、台湾有事の際、「アメリカは中国から台湾を守る」と宣言した。だから【歴史的】です。

この宣言の効果は?

バイデン歴史的宣言の効果は、どうでしょうか?

台湾にとって、非常に大きな抑止力になることは間違いありません。中国は、1970年代に入ってから尖閣の領有権を主張しはじめました。そして、2010年から「尖閣は固有の領土で核心的利益だ」と宣言しています。しかし、11年経っても、尖閣に侵攻していません。なぜでしょうか?唯一の理由は、「米軍が怖いから」です。

バイデン政権の高官は、しばしば「尖閣は日米安保の適用範囲だ」といいます。この言葉が、「抑止力」になっている。習近平は、「尖閣に侵攻しようかな」と考えます。「海上保安庁、海上自衛隊はなんとかなりそうだ」と考える。しかし、唯一の懸念材料は、米軍の動向です。米軍が出てきたら負ける可能性が高い。そこで彼は、側近に問います。「尖閣に侵攻したら、米軍は動くかな?」側近は、「バイデンもブリンケンもオースティンもサリバンも、『尖閣は日米安保の適用範囲」と明言しています。動く可能性が高いでしょう」と答えるでしょう。それで習近平は、「では、やめておこう」となる。

今回、バイデンは、「台湾を中国から守る」と宣言した。この歴史的宣言によって、習近平は、台湾に侵攻する決断を下すのが難しくなるでしょう。

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