2020年、米大統領選の大混乱の種を蒔いたドナルド・トランプ氏ですが、「フィリピンのトランプ」の異名を取るドゥテルテ氏も本家に負けていないようです。今回の無料メルマガ『出たっきり邦人【アジア編】』で、フィリピン中部のセブに住む日本人・トム爺さんが取り上げるのは、来年行われる同国大統領選を巡り「ドゥテルテ一族」が繰り広げているドタバタ劇。トム爺さんは記事中、彼らが使うやもしれぬ「嘘のような裏ワザ」を紹介しています。
ドゥテちゃんの秘策 奇策
来年2022年5月に行われる大統領選挙に向けた立候補が締め切られた。フィリピンは過去のマルコス大統領の長年に渡る悪政の経験から、大統領の任期は一期まで、再選は憲法によって認められていない。よって国民指示率の高いドゥテルテ大統領も、再度大統領に立候補することは出来ない。
そこでドゥテちゃん、秘策を編み出した
次期大統領選に出馬できないんだったら、禁止規定のない副大統領を目指しちゃおっと。俺人気有るし。みんな受け入れてくれるんじゃね?とばかり。
法律の隙間をついた「奇策」でちょこんと中枢に留まろうとしてた。
本人予想に反して、「憲法違反の疑いがある!」との批判が一斉に湧き上がり、世論調査でも否定的な意見が多くドゥテルテ大統領しゅんとなる。
突然「副大統領には立候補しない、政界引退する」と発表。
10/8に締め切られた立候補受付主だった立候補者は
- ボクシング フィリピン英雄 マニー・パッキャオ
- 独裁者とされた故マルコス大統領の長男 フェルディナンド(通称ボンボン)・マルコス
- ロブレ副大統領
- 俳優出身のマニラ市長 イスコ・モレノ
- ラクソン上院議員(この人またでるのか)
とまあこんな感じだが、当初からの一番人気が立候補していない。
ドゥテルテ大統領の娘、サラちゃん。
本人はもともと立候補に前向きだったのだが、突然父ちゃんが副大統領に立候補する!なんぞ言い出した為、「親子で正副大統領選はない!自分は国政にはでない。出るのは父か私かどちらか一人だけだ」と公言。その後一切何も語らなくなっている。
だか彼女、未だに一番人気なんだよねえ。
締め切りは来たわけで、じゃあもう出ないのねえというところだが、まだわからんのさ。実は「今立候補している人間と入れ替わる」という嘘のような裏技がある(ドゥテルテ大統領も前回そうだったんじゃないかな)。
その期限が11月までと迫っている中、皆がサラちゃんの動向を注目している。その方が派手でしょ。サプラーイズ!ってのが。
実際受付最終日にドゥテルテ大統領に近い元国家警察長官のデラロサ上院議員が突如立候補。サラ氏に差し変わる可能性を記者団から聞かれ「そうなったらより良い」などと答えた。
今回の大統領立候補者は97人。前回の大統領選の時にも書いたが、大多数がわけわからん公約を掲げて立候補するというのがフィリピン的。今回のはまだ見てないが前回は確か「世界を征服する」って立候補した奴がいた。
さてサラちゃんどう出るか!もうすぐ期限だな。11月15日。
続報はまたの機会とする。
著者/トム爺(「ビサヤン天国 ―体力と忍耐と―」連載。フィリピン・セブ在住)
image by: Rody Duterte - Home | Facebook