追い風と向かい風。岸田首相が経済を大復活させることが困難な訳

 

長期政権になるためにクリアすべき2つのこと

問題は、「内政」ですね。

現状新型コロナは、下火になっています。新型コロナ、ワクチンの普及で、死亡率が劇的に下がりました(5月時点で2.4%、8月時点で0.12%で、20分の1になった)。

しかし、次の波が来ることは間違いないでしょう。ワクチンが普及して、死亡率が下がった。それで、次の波がきたときの問題点は、「病床を確保すること」だけでしょう。

だから、岸田内閣は、「次の波に備えて病床を確保する措置」を今すぐ開始すべきです。そして、そのことを「やります」と宣言するべきです。次の波が来たとき、「病床は十分あります。岸田さんから『次の波に備えて病床を増やしておいてください』と指示があったからです」となれば、長期政権への第一歩を歩みだすことができるでしょう。

もう1つは、「新型コロナ大不況」を克服することです。景気は現状、「追い風」と「向かい風」が同時に吹き始めている状況。「追い風」は何でしょうか?世界中でワクチン接種が進み、経済活動が再開されていること。「向かい風」は、何でしょうか?中国バブルの崩壊です。

今中国で起こっていることは、2つの視点から考える必要があります。1つは、「国家ライフサイクル」。40年間成長をつづけた中国経済は、「成長期」から「成熟期」に移行している。つまり中国の2020年代は、日本の1990年代に匹敵する。これは、長期的視点なので、「予測も可能」だったのです。

たとえば16年前、2005年に出版された初めての本『ボロボロになった覇権国家アメリカ』の127pには、こうあります。

中国は、2008年・2010年の危機を乗り越え、初めは安くてよい製品を供給する「世界の工場」として、その後は1億3,000万人の富裕層を抱える巨大市場として、2020年くらいまで成長を続けるでしょう。

さらに、7年前、2014年に出版された『クレムリン・メソッド~世界を動かす11の原理』、99pにはこうあります。

私は、現時点で「中国経済は2018~2020年ごろ、日本のバブル崩壊に匹敵するような出来事が起こる」と見ています。

そう、今中国では、「国家ライフサイクルどおりのこと」が起こっているのです。だから、「仕方ない」ともいえるでしょう。

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