立憲は自滅、維新は躍進。単独過半数の自民は衆院選で本当に“勝った”のか?

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衆院選での大敗すら予想されながらも、単独過半数どころか絶対安定多数を確保した自民党に対し、野党共闘を実現しながらも大きく議席を減らした立憲民主党。何が両党の明暗を分けたのでしょうか。そして有権者は「岸田自民」対して、信任を与えたのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では著者でジャーナリストの高野孟さんが、自民、立民、そして維新の選挙戦を振り返りつつ、第49回衆議院議員総選挙の総括を試みています。

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※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2021年11月2日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

何だかよく分からない総選挙の結果――自民は議席減でも苦い勝利/維新はハッピー大躍進/立憲は重い敗北

政権が代わって、まだその中身が国会でもマスコミでもほとんど吟味に晒されていない内に早仕掛けで総選挙をやってしまえば、さほど大きな負けにはならないというのは、岸田文雄首相自身の判断だったと言われる。奇襲戦法と呼ぶ者もいたこの戦術は、確かに効果があって、選挙前には自民党議席276に対し単独過半数233を割る可能性があるとの予測も飛び交っていたというのに、蓋を開ければ、15議席を減らしたとはいえ261の「絶対安定多数」〔注1〕を確保する大善戦で、岸田の思惑は的中したと言えるだろう。

改憲ということになると、3分の2の310議席が必要で、自民と公明を足しても293、国民民主を足しても304でまだ足りないが、これに維新が加われば一気に334になる〔注2〕。しかし、そもそも公明は安倍流の改憲には全面賛成するはずがなく、国民民主も同様。仮に公明と国民民主が乗れないような改憲案を持ち出して維新だけが賛成しても302で、やはり3分の1には届かない。それにそもそも、岸田は確かに安倍・麻生に擦り寄って権力の座を手にしたとはいえ、すべて安倍言いなりになって安倍流の改憲案を本気で推進しようとするのかどうかは分からない。

〔注1〕全常任委員会で委員の過半数を確保し、また当然、委員長も独占しているので、すべての法案を通せる状態のこと。

〔注2〕改憲への加除計算:
自民261+公明32=293
自民261+公明32+国民民主11=304
自民261+維新41=302
自民261+国民民主11+維新41=313
自民261+公明32+維新41=334

11月2日付毎日新聞によると、当選者の77%が「改憲」そのものに賛成だが、9条改正で自衛隊の存在明記に賛成は57%、緊急事態条項を設けることに賛成は60%だった。

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