“脱炭素祭り”で日本を袋叩きにするEU「石炭と原発依存」の不都合な真実

 

今後、今回のGlobal Methane Initiativeが実用的な取り組みになるためには、各国の状況に応じたコミットメントが許容されるべきであり、また欧米から「石油と天然ガスのサプライチェーン全体からの排出を減らせ」と条件を課せられるような状況だと、90か国以上が集まった取り組みとはいえ、実効性には疑問が残ることになるでしょう。

今回のCOPで、総論には賛成されたようですが、各論でいかに国際的に協調できるかが成功を左右することになるでしょう。

今回の内容は、私の強い思い入れと、予てよりの疑問が溢れてきて、分析というよりは、個人的な見解の表明になってしまったような気がしますが、どうぞお許しください。

環境保全のためと声高に叫ばれる主張の裏には、必ずと言っていいほど、誰かの経済的な利益の拡大と地政学的な覇権獲得への意図が隠れていることを覚えていてくださいね、と最後に申し上げて、今回のお話は一旦、おしまいにしておきたいと思います。

あ、ちなみに、私は脱炭素の流れには決して反対ではなく、賛成です。しかし、そのためのスピードとプロセスは、少し余裕をもって見ておかないと、実生活が成り立たない事態もあり得るということに警鐘を鳴らしたいだけです。

COP26はまだ10日ほど続きますが、未来の世代のために、本当に実効性が高いソリューションを見つけ出して、今、分断が進む国際社会を再び協調の姿に戻すための接着剤の役割になってくれればなあと願っております。

個人的には、日本企業も海外に拠点を多く持ち、多くのジョイントベンチャーを抱える今の時代、かつてのCDMのように、途上国や他国において行った削減努力も、日本企業、そして日本の脱炭素への貢献として、認められるようなルール作りが出来ればいいのですが…。

またCOPが終わり、もう少し客観的な分析ができるようであれば、再び取り上げてみます。

皆さんはどうお考えになりますか?

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