私の目に止まった記事 その2
● みずほ銀行「国家管理」、完全対等合併のシステム統合は無理だった (宿輪 純一) | マネー現代 | 講談社
このメルマガでも以前に取り上げた、みずほ銀行のシステムの問題を分かりやすく解説した記事です。最も重要な点は、下の2つの段落に書かれています。
組織の経営に2つや3つの対等な力関係はトラブルの根源でしかない。銀行の経営では力関係で、システムも1社に任せるものである。三菱UFJ銀行は三菱銀行のシステムに、三井住友銀行では住友銀行のシステムに「片寄せ」した。
しかし、みずほ銀行の場合は対等合併であり、特に今回トラブルのエリアであるリテール部門のシステムは、当初、富士銀行の「TOP」と第一勧業銀行の「STEPS」を対等につないだ。その後、「MINORI」では銀行業務を分解し、ベンダーは分担して開発に当たった。そこにどうしても無理が出てくる。それは、人事などの経営でも一緒である。組織というものはそういうものである。
富士銀行と第一勧業銀行の「対等合併」だったゆえ、どちらかのシステムを捨てる「片寄せ」が出来ず、両者のシステムを温存したまま、二つのシステムを無理矢理繋ぐという複雑な設計を選んだため、こんなことになってしまったのです。
さらに問題なのは、このシステムに絡む外部のベンダーの数です。この記事によると、
システム会社も、富士通、日立製作所、日本IBM、そしてNTTデータといった4ベンダーをはじめ約1000社が入って、複雑化した。この「複雑さ」が連続するシステムトラブルの主因である。
とのことなので、私のような部外者から見ても「うまく行かなくてあたりまえ」の状況です。今後、みずほ銀行のシステムは金融庁の管理の元に置かれるそうですが、それで問題が解決するとは私には思えません。私が金融庁の担当役人であれば、みずほ銀行に対する廃業命令を真剣に考えるだろうと思います。
(※本記事はメルマガ『週刊 Life is beautiful』2021年11月30日号より一部抜粋したものです。全文をお読みになりたい方は、この機会にぜひご登録ください)
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