失敗も成功も経験せずに経営者となった「後継ぎ」はどう育てるべきか

 

少し、外れるのですが、松下幸助さんはこんなことを言っています。「部下の失敗はただ叱れば良いというものではない。失敗を自覚している時には慰めも又必要である」「叱るときには、本気で叱らんと部下は可哀想やで。策でもって叱ってはあかんよ。けど、いつでも、人間は偉大な存在であるという考えを根底に持っておらんとね」

「艱難汝を玉にす(困難や苦労を乗り越えることによって、初めて立派な人間に成長する)」という諺があります。後継経営者は、まずしなければならないのは顧客やノンカスタマー(顧客であっておかしくないにもかかわらず顧客になっていない者)の欲求、価値、現実を顧客視点(アウトサイド・イン)でとらえること。

アウトサイド・インの視点から自社のリソース(資源)、技術、サービスの強みを確認して、今後の戦略的な指針を見極めること。そのうえで、現有の社内の人材個々とコミュニケーションして情報を収集するとともに、その資質、能力を把握して戦略構想を練ること。この場合、無知識、無能のままで“衆知”を集めることです。

なぜ無知識、無能のままでかは、そうして接することで、多くの情報を白紙から集めることができるとともに、接する人材の素顔を見ることができるからで、とにかく多くを聴けば聴くほど知的資源が集まります。

できれば、インフォ─マスで“飲みにケーション”するのも効果的です。ここでのポイントは、本人の能力よりも人間的な資質、品格を確認するとが肝要で、あわせて“聞き役”“伝道者”となることです。京セラの稲盛さんは、社内のいろんな忘年会には、例え風邪で体調がすぐれなくとも無理を押して必ず出席したそうです。

“伝道者”とは何かで少し捕捉します。ミッションやビジョンを持たない事業は、餡子のない饅頭です。業績を大きく伸ばし成長させる経営者は、自身の行う事業の“意義”について信念を持っていなのでは骨なしです。腹を割っての伝導で、内部・外部を問わず共同体の信者となします。

松下幸之助さんは「衆知を集めた全員経営、これは私が経営者として終始一貫心がけ、実行してきたことである。全員の知恵が経営の上により多く生かされれば生かされるほど、その会社は発展する」と。「自分自身があまり学問、知識というものをもっていなかったから、皆に相談し、皆の知恵を集めてやっていくことになった」と言います。

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戦略経営のためには、各業務部門のシステム化が必要です。またその各部門のシステムを、ミッションの実現のために有機的に結合させていかなければなりません。それと同時に正しい戦略経営の知識と知恵を身につけなければなりません。ここでは、よもやま話として基本的なマネジメントの話も併せて紹介します。

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【著者】 浅井良一 【発行周期】 ほぼ週刊

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