会社の悪評をばらまく退職予定者。契約や法律でどこまで対処できるのか?

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退職する予定の社員が会社の悪口を言って回っている…実はよくありがちなことです。とはいえ、会社側からすればたまったものではありません。一体、どうすればよいのでしょうか。何か対策はあるのでしょうか。そんな悩みが無料メルマガ『採用から退社まで!正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』の著者である社会保険労務士の飯田弘和さんのもとに届きました。飯田さんはトラブル回避の方法を詳しくお話しています。

退職予定者の問題行動への対応

ある会社さんから、こんなご相談を受けました。

「今月末で退職する従業員が、他の従業員に対し、会社の悪口を言って回っているようです。どうすればよいでしょう?」

方法はいくつか考えられます。

その従業員に注意・指導する。場合によっては、(軽めの)懲戒処分を科す。あるいは、配転を命じ、他の従業員と接しない部署へ異動させる。

しかしここで注意すべきは、この従業員からの反発が予想されることです。ましてや、退職に際して会社の悪口を言って回るような従業員は、会社に対する不満が相当たまっていると思われますので、反発も激しいものになる可能性があります。

間もなく退職する、会社との関係が切れる者によって煩わされ、事業主の大切な時間が奪われるというのは、あまり得策ではありません。そこで、退職までの間、休業を命じるというのはどうでしょう。

雇用契約では、従業員は会社に対し“労務を提供する義務”があります。しかし会社には、その労務を受領する義務はなく、“賃金の支払い義務”があるのみです。したがって、会社都合での休業を命じても、賃金を支払いさえすれば良いのです。

労基法では、会社都合の休業の場合には“平均賃金の60%”の休業手当を支払わなければならないことになっています。逆に言うと、この休業手当さえ支払えば、労基法上は問題ありません。

しかし、民事的には、賃金の100%を支払う義務がありますから、今回のような場合には、100%の賃金を支払うのがよいでしょう。平均賃金の60%である休業手当しか支払わない場合、賃金100%との差額の支払いについて、トラブルになる可能性があります。

また、退職後には、離職票や源泉徴収票、社会保険の資格喪失証明書などの交付を、できるだけ速やかに行うことで、不要なトラブルを避けることができます。

このような従業員には、できるだけスムーズに辞めてもらい、その後は可能な限り関わらないようにするのが、事業主として賢明な対応ではないかと思います。

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【著者】 飯田 弘和 【発行周期】 週刊

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