今もつづく指導者の「近視眼」
日本の指導者たちの視点が「近視眼的」「戦術的」である問題は、現在もつづいています。たとえば、岸田さんは、いまだに「北京オリンピック外交ボイコット」の決断ができません。「中国の金は捨てがたい」「中国は怖い」などと考えているのでしょう。
しかし、世界はここ2年間で、はっきりと「反中トレンド」になっています。香港問題、ウイグル問題、台湾問題などで、かつては親中だった大国も、続々と反中になってきている。代表的なのは、イギリス、フランス、ドイツ、オーストラリアなど。さらに、バランス外交を志向していたインドも、昨年の国境紛争でインド兵20名が殺されたことから、はっきりと反中に変わりました。
日本は現在、はっきりとアメリカ側につくべきです。それが、日本勝利の道であり、長期的国益です(中国が勝利すれば、日本がウイグル化されるリスクすらでてきます。そうなると、天皇陛下は、ダライ・ラマ同様亡命せざるを得なくなるでしょう)。
岸田さんは、日本人らしく、アメリカにも中国にもいい顔をしようとし、逆に「狡猾な奴だ」と思われていることでしょう。
日本はかつて、ユダヤ人を大虐殺したナチスドイツを同盟国に選びました。そして今日本は、ウイグル人絶滅政策(不妊手術強制)を行っている中国に、忖度しつづけています。岸田さんのこの「近視眼的、戦術的見方」が日本に再び大きな災いをもたらすかもしれません。
私は、何がいいたいのか。日本人は概して、優しくて、勤勉で、誠実です。しかし、概して広い視点(戦略的視点)は、持っておらず、指導者たちがしばしば「致命的失敗」を犯します。そして、日本国民全般にも、そういう傾向があるといえるでしょう。
「戦術的視点」で、短期の利益を得ることはできます。しかし、長期的に勝ち続けることはできません。「戦略的視点」は、短期の利益を犠牲にしても、長期的勝利、成功、繁栄を手にすることを可能にします。皆さんも、是非「戦略的視点」を学び、身につけてください。
(無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』2021年12月21日号より一部抜粋)
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