「安倍隠し」に血税1億。森友裁判“認諾”に怒らぬ日本国民の腑抜けぶり

 

本省から改ざんを指示する最初のメールが平成29年2月26日に送信された。「削除した方がよいと思われる箇所がある」とし、総理夫人すなわち昭恵氏や政治家の名前などに印がつけられた元の文書が添付されていた。メールは、何度もやりとりされ、本省は細かく指示を繰り返した。

赤木さんは「すでに意思決定した文書を修正することに疑問が残る」と抗議したが、本省は「局長から現在の国会答弁を踏まえた上で、作成するよう直接指示があった」「改めて修正後、局長への説明を行う」と、局長の指示ゆえ有無を言わさないという態度のメールを送りつけてきた。

当時の佐川局長が理財局内において、首相や自分の国会答弁と食い違わないような文書にすべきだという趣旨の発言をし、それを受けて理財局の幹部らが近畿財務局に改ざんを指示した。そして、赤木さんの抗議に対しては「局長の直接指示だ」と言って押さえ込んだ。そこまでは、はっきりしている。

しかし、佐川氏の対応は、単に安倍首相への忖度によるものか、それとも官邸から働きかけがあったのかなど、具体的な経緯がはっきりしない。総理の不用意な発言をカバーして歓心を買い、出世に役立てようという気が佐川氏にあったとしても、自発的に違法行為を部下に促すほどのことなのだろうか。

聞くところによると、安倍氏の「関係していたら議員も総理もやめる」発言から数日後、佐川氏ら理財局幹部が官邸に呼ばれ、善後策を話し合ったそうである。もちろんこの時、昭恵夫人の関与を示す文書が存在することは判明していた。

文書が世に出れば、首相は辞めなくてはならなくなる。首相側近が佐川氏にどんなことを言い、佐川氏がそれをどう受け止めたのか。もし、文書改ざんを求められたとしたら、首相からの指図があったのかどうか。

そうした経緯を明瞭にし、真の首謀者を白日のもとに晒すことこそ、赤木雅子さんが起こした訴訟の目的であろう。

赤木雅子さん側は訴訟で、佐川氏のほか、改ざんに関与したとされる当時の理財局総務課長、国有財産審理室長、近畿財務局幹部らに証人請求する方針だった。

政府はその願いを「認諾」によって断ち切った。つまるところ、秘密を守り抜きたいからに違いない。法廷で嘘をつけば偽証罪に問われる。証人が不都合な事実を隠し通せるかどうかは疑問だ。

森友学園事件は、教育勅語を子供たちに暗唱させる大阪の学園に総理夫妻が惚れ込んだのが、そもそもの始まりだ。総理夫人は2年間で三度にもわたる講演を学園で行ない、15年9月に学園が新設を予定していた小学校の名誉校長に就任した。最初の講演は夫の代理だった。その後の夫人の関与についても、夫である総理は承知していたはずだ。

改ざんされた決裁文書から削除された以下の記述が、総理夫人の積極的関与を物語っている。

平成26年4月28日 (森友学園との)打ち合わせの際、「本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください。』とのお言葉をいただいた。」との発言あり。

こうした事実を消し去るため、近畿財務局の生真面目な一職員に公文書改ざんという重大な違法行為が押しつけられ、職員は煩悶のすえ自殺するまでに追い込まれた。

官僚組織が最高権力者を守るために隠ぺい工作をし、裁判でそれがバレそうになるや、「認諾」という最終兵器を用いて真相解明の手立てを粉砕する。そしてその最高権力者はまるで他人事のように振る舞い、いまも最大派閥のトップとして、政官界を牛耳ろうとしている。この国は民主主義国家なのだろうか。

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