なぜ、営業の神様は会社の接待費を使わずに“自腹”で手土産を買うのか

 

ルール2 自腹で買い求めること

その点、 笠さんの手土産は実にスマートでした。

笠さんは、バブル時代の証券会社で接待交際費も潤沢にあったでしょうが、 大切な方には、原則として自腹で手土産を買っていました。つまり 領収書をもらわないわけです。
たしかに同じ手土産でも、相手を思って贈る気持ちが、自腹と経費では変わってきます。そして、 贈られる方もなんとなくわかるものです。

もともと、 接待交際費経というものは、今すぐ商売に役立つ人にだけ使う類のものなのです。 商売とは無関係にお付き合いしたい人、教えを請いたい人には経費は使えませんし、ましてや、 いつかお世話になる予感がする人、10年後20年後に一緒に仕事をしたい人のために上司に経費申請はできないでしょう。

自腹主義は、ランチなどを奢り奢られる時にも応用できる考え方です。そんな時、 私は領収書をもらいませんし、領収書をもらっているのを気持ちよく感じたことがありません。

ルール3 生涯つきあいたい人にこそ手土産や贈り物を

笠さんは、 高校卒業後、九州で個人向け営業からスタート し、その後、実績を買われてトヨタなどの事業法人や、信用金庫などの金融法人の担当となって、 驚くべき取引の数々を獲得しました。

普通なら、 取引額の小さなかつての個人のお客さまのことなど忘れてしまうはずです。

しかし、 笠さんの本領発揮は、ここからなのです。 かつてお世話になった方に、自腹でお中元お歳暮などを出し続け、里帰りした時などには、わざわざ手土産を持参することもあったようです。

私もこれまで経営者として、 数多くの金融機関の支店長とおつきあいをさせていただきましたが、 転勤してからもそこまでしてくれる人はいない のです。ましてや支店長でもない、一営業マンの時からそれを続ける笠さんの熱意には、心動かされない人はいないでしょう。

ですから、 晩年、九州で監査法人の顧問になった時には、 かつての個人のお客様から、トヨタで偉くなった方まで、誰もが笠さんのファンとして応援してくれたのです。

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