例えば、スポーツが好きな人は勝手にやればよくて、それに政府が介入する必要はない。スポーツ嫌いな中学生が16%から8%に減ったからと言って経済が潤うわけでもない。スポーツで国威を発揚させて、国力の向上に役立てたいということかもしれないが、はっきり言ってこれは妄想だな。冷戦の頃、旧ソ連や東ヨーロッパでは、国を挙げてオリンピックに勝つべくステートアマを養成したが、これらの社会主義国はほとんど崩壊してしまった。国威発揚は、国力の向上という観点からは、何の役にも立たなかったブルシット・ジョブだったのだ。独裁者の自己満足みたいなものだな。
プロのスポーツは金もうけのための手段だから、それを規制する必要も補助する必要もない。アマチュアのスポーツは趣味なのだから、好きにやらせておけばいいので、税金を使って振興するのは、スポーツは素晴らしいというイデオロギーのなせる業だ。私は、自分ではスポーツはやらないし、ほとんど見ない。スポーツ振興に私の納めた税金を使わないでくれと言いたい。そういう人も多いだろう。
私は、時々釣りをするが、例えば調査の結果、釣り嫌いの中学生が50%いるとして、これを25%に下げるために、文科省と農水省が協力して釣り振興のために税金を使うと決めたら、おかしいと思う人が沢山いるだろう。スポーツも釣りも、個人の趣味なのだから、スポーツだけを優遇するのは間違っている。(『池田清彦のやせ我慢日記』2022年1月14日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください)
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