98年7月の参院選で、自民党が惨敗し橋本内閣が総辞職。小渕恵三氏が首相の座に就くと、野中氏が官房長官に指名された。総裁選に敗れた梶山静六氏は側近にこう言ったという。
「お前ら見てろよ。小渕内閣は必ず公明と組むぞ。窓口には野中がなる。あいつがみんなを牛耳るんだ。公明票がなければ当選しないから、みんな野中に頭を下げなきゃならなくなる」(魚住昭「野中広務・差別と権力」より)
99年10月、公明党は連立政権に参加し、梶山氏の予言は現実となった。「自公連立政権の存在は、日本に政治の安定をもたらした」と公明党の山口代表は胸を張るが、裏を返せば、権力の堕落と腐敗を招く温床でもあったのではないか。
たとえ今回の選挙協力が最終的には首尾よく運ぶとしても、同じような問題が今後も起こってくるに違いない。「身を切る改革」を掲げ、関西から全国に地盤を拡大しようとしている日本維新の会のほうが、「平和」「福祉」の公明党よりよほど自民党の政策に近い。その伸長しだいでは、ますます自公関係は微妙になっていくだろう。
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