自公の選挙協力にヒビ割れ。創価学会が自民党にかけた脅しの内容

 

茂木幹事長の対応にしびれを切らした公明党は強い態度に出た。山口那津男代表が、1月15日に開かれた各都道府県本部代表らとのオンライン会議で、夏の参院選は自民党との相互推薦による選挙協力を実施しないと言明したのである。

自民側が相互推薦のデメリットを懸念するなら、公明側にも言い分があろう。相互推薦を本格導入した2016年以降、国政選挙における比例獲得票が目立って減り続けている。

学会員の高齢化による集票力の鈍化という面もあるが、自公協力で選挙区に重点を置かざるを得ず、比例票の掘り起しまで手が回らないのが実情のようだ。

創価学会も自民党に異例のプレッシャーをかけた。

公明党の支持母体の創価学会は27日、夏の参院選の候補者への支援に関する基本方針を発表した。人物本位を支援基準とする原則を徹底し「党派を問わず見極める」と明記した。(日経新聞)

自民候補なら無条件に支援が得られると思うなよ、という脅しだ。

茂木幹事長は1月31日の記者会見で「自公は連立与党なので、協力を進められるようにしていきたい」と語り、相互推薦へ向けて努力する姿勢を示したが、党内にはいぜん危機感が漂っている。石破茂元幹事長は1月17日の日テレ「深層NEWS」に出演し、こう語った。

「これは(影響が)出ますね。ものすごく出ますね。…自民党にとって是正し得るものなのかどうか。是正しえないのであれば、推薦してもらえない選挙区はけっこうしんどいことになる。選挙まで半年もない。体制をかなり立て直さないと厳しいことになる。あまりなめてはいけない」

現執行部に苦言を呈したかたちだ。週1回開かれていた自公の幹事長、国体委員長会談が岸田政権誕生以降は途絶えていたことも、両党幹部間の信頼関係に疑問を抱かせる。

自民党はこのさい、自公連立を見直したらどうなのだろうか。創価学会という特定の宗教団体に選挙戦を依存する政党が政権を担うというのは、そもそも憲法の「政教分離」原則に反している。

自公接近の経緯からして、まともではない。もとをただせば、1996年3月、当時の公明党代表、藤井富雄都議らが、ある暴力団組長と密会しているビデオテープを野中広務幹事長代理が入手した時までさかのぼる。

のちに野中氏と結んで自公連立のキーマンとなる藤井氏は、学会本部への右翼・暴力団の街宣車を排除するため、元警視総監の仲介で暴力団組長に会ったという。

当時の自・社・さ連立政権は、住専の不良債権処理に6,850億円もの税金を投入する予算案を提出していた。住専に巨額の融資を続けた農林中金や県信連など、農協系金融機関を救済するのが目的だった。

それに反対する新進党は国会にピケを張って抵抗した。この局面を打開するため、野中氏はビデオテープの存在をちらつかせ、新進党の旧公明党議員に住専問題で妥協するよう迫ったのだ。

これをきっかけに野中氏は、創価学会中枢に近づき、新進党の切り崩しにまんまと成功。97年12月、新進党は解党、6つの政党に分裂した。野中氏は公明・創価学会とのパイプを武器に、党内の実力者にのしあがっていく。

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