オミクロン株も「勝手にピークアウト」か。備えるべき次なる変異とは?

shutterstock_1683442429
 

東京では前の週の同じ曜日比較での感染者数減が1週間以上続き、感染拡大のピークは超えたように見えます。またしても理由がわからないままにピークアウトを迎える状況を「不気味」と警戒するのは、メルマガ『8人ばなし』著者の山崎勝義さん。オミクロン株がいつ肺炎誘発型に変異してもおかしくないと、最新のデータや研究を元に伝えます。そして理由がわからないのに感染者数減で油断した第5波後の政府の怠慢を指摘し、努力を怠ってはならないと警鐘を鳴らしています。

世の中を鮮やかに斬る『8人ばなし』メルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

暗器のこと

オミクロン株には不可思議なところが二つある。一つは以前にも指摘したところだが今まで一体どこに潜伏していたのかという謎である。そしてもう一つが「681番目変異」と呼ばれている受容体結合領域内変異に関しての謎である。受容体結合領域は一般にはスパイクたんぱく質と言われることが多い。

実はこの681番目という変異箇所には大きな懸念がある。というのも、この681番目の変異は肺に炎症を引き起こしやすいことが動物実験等で分かっているからだ。COVID-19において肺炎が重症化の引金になることは既に誰もが知っているところである。

試みにこれまでの変異株と681番目変異との関係をまとめてみると(以下、本稿執筆に当たっては国際的な研究プロジェクトである「GISAID」や「Nextstrain」のデータや研究を参考とした)、
アルファ株 (P681H)
デルタ株  (P681R)
ミュー株  (P681H)
そして、
オミクロン株(P681H)
となる。

考えたくはないけれど、いつ何時この変異箇所が発現し、その結果としてオミクロン株自体が肺炎誘発型変異株になっても不思議ではないのである。もしかしたら我々はただついているだけなのかもしれない。今のこの大感染状態を目の当たりにしても猶である。

オミクロン株の大波は今ようやく頭打ちと言った感じだ。仮にこのままピークアウトして行ったとしても、それは何が奏功したのかさっぱり分からない、所謂「勝手にピークアウト」である。実際、過去例と比較してより積極的な対策が取られた訳でもないし、ワクチンのブースター接種も感染者数全体に対して影響を与えるほどには進んではいない。

この「勝手にピークアウト」を何とも不気味に感じるのは自分だけだろうか。確かに「羹に懲りて膾を吹く」ような極端な心配性も良くはないが「膾と信じ羹を大口に含む」ような蛮勇よりは余程ましであろう。

世の中を鮮やかに斬る『8人ばなし』メルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

print
いま読まれてます

  • オミクロン株も「勝手にピークアウト」か。備えるべき次なる変異とは?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け