リトアニアの脱中国行動のきっかけとアメリカでの民主主義の衰退
そんな中で、今回の脱中国へと大きく舵を切った最大のきっかけは、2019年に起こったビリニュスでの中国人の暴動と言われていますが、実は、中国の香港への弾圧を目の当たりにしたことが大きかったと思います。
現政権発足の直前、2020年の7月から国家安全維持法が制定され、徹底的に自由を求める香港市民が弾圧される映像が毎日世界中に流されました。あれを見て、自分たちと重ね合わせたリトアニア人は少なく無かったと思います。
それだけでなく、チベット、ウイグルがあり、そして今渦中の台湾です。リトアニアは、現政権発足直後の2020年11月9日に、「人権や民主的自由のいかなる侵害にも積極的に反対していく。ベラルーシから台湾まで世界中で自由のために戦う動きを擁護していく」ということを表明しています。
今、台湾が同じ状況に置かれている中で、まさに台湾はリトアニアと一緒である、という思いは非常に強くて不思議は無いと思います。
冒頭申し上げたとおり、今、アメリカでは民主主義の衰退と言われだしていますが、アメリカも、人権問題に毅然と対応、と言いながらも、アメリカの優先順位は、安全保障上の問題、若しくは経済問題で、それが自国優位に動く前提である、という本音が透けて見えることが、権威主義国家に多国間的な世論形成で勝てない理由の一つでは、と思います。
リトアニアの行動を参考にしつつ、民主主義陣営が優位に立つ為の、基本的な外交戦略を見直す機会にしてほしいと思います。
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