トーンモバイルがドコモとの新たな取り組みを発表。その仕組みは、トーンモバイルに留まらずにドコモショップの商材拡大に期待が持てるもののようです。伝えてくれるのは、メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さん。今回の試みが成功すれば、ソニー「Xperia PRO-I」など高額なハイエンドモデルの扱いも可能となり、ドコモユーザーの中でも高齢の富裕層にマッチすると、今後の展開に注目しています。
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ドコモショップでトーンモバイルのスマホを取り扱い──店舗に在庫を持たない仕組みは商材の拡大につながるか
トーンモバイルは2月24日より、ドコモショップにて「TONE e21 rev.2」を9980円で販売すると発表した。TONE e21 rev.2は「TONE e21」をドコモ向けにカスタマイズしたモデルだ。MVNOが扱う独自モデルをドコモショップで取り扱うのはかなり異例のことだ。
ただ、全国のドコモショップで実機やパネルなどの展示は行うものの、その場で実機を持ち帰れるわけではない。店頭で契約、購入後、2~3日でトーンモバイルの配送センターからキッティングされた状態で配送されるというものだ。
トーンモバイルでは「TONE Zen」という機能を提供しており、電源をいれることで、SIMカードを読み取り、初期設定が20秒ほどで自動的に完了する仕組みとなっている。店舗に在庫を置かないということで、トーンモバイルにとっては在庫リスクがほとんどなく、かなりメリットの多い仕組みと言えそうだ。
全国2300店舗のドコモショップで実機を触り、店員さんに細かいことを聞けるという点において、ユーザーにとっても安心して購入できるだろう。
この仕組みが成功するのであれば、今後、NTTドコモは商品ラインナップの多様化につなげることができるのではないか。例えば、SIMフリーで売られている、ソニー「Xperia PRO-I」などもドコモショップで扱えるようになるだろう。
さすがに20万を超えるスマートフォンを全国2300店舗のドコモショップに在庫として持つにはリスクが高いが、一部の店舗では店頭で触ることができ、気に入ればその場で購入手続きをして後から配送というのであれば、ドコモショップもユーザーも嬉しいはずだ。
Xperia PRO-Iに興味を示すのは、カメラを趣味とする、お金に余裕のある年配層であり、ドコモのユーザー層に被るところがある。そもそも、Xperiaを使っているユーザーが乗り換える超ハイエンドモデルとして位置づけられていることもあるため、ドコモショップとの相性はいいはずだ。
やはり、ユーザーからすると、iPhoneであれば「オンラインで購入」はさほど抵抗ないかもしれないが、Androidのようにメーカーによって個性が異なるスマートフォンの場合は、一度、店頭で手にしたいという心理はあるだろう。
Xperia PRO-Iのように高額なSIMフリースマートフォンや、セルラーモジュールが内蔵されたノートパソコンやChromebookなど、在庫するのに抵抗のあるデバイスのラインナップを拡充しつつ「店舗で試して購入。だけど配送」にしてしまえばいい。
今週、NTTドコモはメルカリ出品指南や撮影ブースなどを備えた「ドコモ・メルカリコンセプトストア」を期間限定でオープンさせると発表したが、これからのキャリアショップは、これまでとは違ったやり方を追求していく必要がありそうだ。
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image by:Terence Toh Chin Eng/Shutterstock.com