そのため、まだ決定的な回答はせず、次々と繰り出される対ロ非難決議案を棄権しつつ、「武力侵攻に対しては受け入れがたく、一日も早い外交的な解決を望む」と述べ、「一方的なロシアいじめ(多層的な制裁措置の発動と国際社会からの強制的な締め出し)には反対する」というような苦しい対応を強いられています。
そう遠くないとされる台湾侵攻に際してのシナリオを練っているとされていますが、中国はこの先どのような一手を打ってくるのでしょうか?
最後にプーチン大統領の恐怖を煽ったのはだれかということに注目しておきたいと思います。
2014年のクリミア半島への侵攻以降、アメリカはウクライナに数十億ドル相当の軍事援助を行い、その結果、ウクライナは欧州地域でロシアに次ぐ軍事大国になりました。
もとはと言えば、軍事侵攻したロシアが悪いのですが、隣国に軍事大国が存在し、おまけにNATOに加盟して、NATOの軍事的なプレゼンスがもう目の前まで迫る状況に、プーチン大統領が待ったをかけた!とも理解できます。
ちなみに現大統領のバイデン氏とその息子はウクライナにそれぞれ会社を持っていると言われていますし、多くの欧米の政治家も利権を持っているとされています。
そしてオバマからトランプ、バイデンに至るまで、その背後で大きな利益を上げてきたのが、アメリカの軍事産業企業です。
今回、プーチン大統領に侵攻“させ”、ウクライナと周辺諸国防衛のために、さらなる軍事支援が必要な状況に陥ることで、さらに潤うという、悪魔のような構図があるとしたらどうでしょうか?
私の妄想かもしれませんし、ただの思い込みかもしれませんが、どうでしょうか?
今回、国際社会からの反応としてうれしかったのは、プーチン大統領が出した核兵器使用の可能性という脅しに対して、【核兵器は二度とつかわれることがあってはいけない】という点で、国際的なリーダー、日本各地の自治体リーダーたち、そして多くの方たちが、確固たる姿勢を示すことが出来たことです。
ロシア軍がウクライナ全土に攻撃をかけてから1週間が経ちました。
ロシア軍の苦戦と、ウクライナ国民の連帯と善戦が強調される中、もしロシアがあえてキエフ郊外に留まっているだけで、いつでも攻撃できる状況にあるのだとすれば、あまり外交的な解決策に時間は残されていないと思われます。
今回のお話は、不確定な要素も多く含み、内容的にご批判を受けるものもあるかと思いますが、ちょっといろいろな角度から状況を分析してみたくなりました。
リーダーたちの間でどのような真の意図が存在するのかは分かりませんし、どのような次の手が用意されているのかは、本人たちにしかわからないものですが、その影響をもろに受け、平和で安全な日常を奪われ、絶望の底に突き落とされて苦難を強いられるのは、ウクライナの一般市民です。
国連紛争調停官時代に同僚だったウクライナ人たちは、家族を周辺国まで送り届け、自らは祖国防衛のためにウクライナに戻りました。その家族たちに対して、欧州にいる元同僚たちを通じてサポートを実施しています。
国家安全保障を脅かされることは看過できないというロシアの論理も理解できますし、ウクライナの自国領土と利害に土足で踏み込まれる事態を看過しないという理由付けも理解できますが、今回、ロシア軍による軍事侵攻という事態は、決して正当化できるものではないと、明確に非難しておきたいと思います。
そのうえで、一刻も早く事態が収まることを心から願い、またできる限りの支援を行うことを約束して、今回はこのあたりでおしまいにします。
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