ソ連邦誕生から100年の物差しで想像すべき、プーチンが主張する「大義」

 

ロシアとウクライナの100年の因縁

だから、ウクライナとの国境などあってなきが如きもので、侵しても構わないとまでは言っていないが、国内にはたくさんのロシア系住民も長年暮らしてきたこの国を「他国だと思ったことはない」と主張している訳である。もちろん勝手な言い分で、例えば元駐ウクライナ大使で『物語ウクライナの歴史』(中公新書)の著者=黒川祐次は、プーチンが「自分に都合のいいところだけをとってストーリーをつくっている」と批判している(毎日新聞3月23日付)。

いずれにしても、ウクライナが初めて全き主権を得たのは1991年の旧ソ連解体で独立を果たしてからであり、それから30年余という短い歴史の物差しを当てれば「明明白白の侵略」で話は終わって、「だからプーチンが悪い」という結論にすぐに行き着くことになる。

それに対してプーチンが持ち出してくるのは1922年の旧ソ連憲法から今年でちょうど100年という長い歴史の物差しであり、それを「何を弁解がましくゴチャゴチャ言ってるんだ」と切って捨てるのは簡単だろうけれど、そこで一旦我慢して、プーチンの目からは今のウクライナの事態がどう見えているのかに想像力を伸ばしてみるのが大事だろう。それが即自化の罠を逃れて対自化された意識を獲得する方法の1つである。(有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2022年3月28日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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早稲田大学文学部卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。現在は半農半ジャーナリストとしてとして活動中。メルマガを読めば日本の置かれている立場が一目瞭然、今なすべきことが見えてくる。

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