四面楚歌の文在寅。退任後の自分を守る「防弾人事」が不発で窮地に

Seoul,,South,Korea,,May,6,2017,,Thousands,Of,People,At,Gangnam
 

前回の記事(『文大統領の夫人を告発。権力利用して贅沢三昧、想像を絶する浪費ぶりに国民激怒』)では、任期満了直前の文在寅大統領を襲う向かい風について語った無料メルマガ『キムチパワー』。韓国在住歴30年を超える日本人著者が、 今回も文大統領の思惑通りにいかない様相を見せる今後の「人事」について語られています。

防弾人事

韓国という国はどうも「防弾」という単語が好きみたいだ。防弾少年団(バンタンソニョンダン)の生みの親の国というせいもあるかもしれない。

最近韓国で使われている単語の一つに「防弾人事」というものがある。なんのことか想像してみてほしい。そう。自分を守るための人事、文在寅が退任したあとで彼を守ってくれるべき人を各ポストにつけるという意味で使われている。この防弾人事についてのおもしろいコラムが文化日報にあった。筆者のことばも交えてご紹介したい。

「草が横になる/風よりももっと早く横になる/風よりももっと早く泣く/風より先に起きる」=金寿永(キム・スヨン)詩人『草』の一部分だ。

草だけが風より早く横になるのではない。政権が変わった後、公職社会はもっと早く横になる。これまで数回の政権交代を経験して公職社会が体得した生存の秘訣だ。5年前に文在寅政権になって、省庁ごとに「積弊清算委員会」を設置し、公務員を弾圧したことを経験した公職社会は、尹錫悦(ユン・ソンヨル)次期大統領が確定するやいなや、変化の速度の速さに茫然自失してしまうほどだ。

文大統領は、大統領選挙が終わって19日後の28日、尹次期大統領に会った。簡単そうだった会合がこれほど長くかかったのは、人事権で退任後の安全を図ろうとした文在寅の固執のためだ。

これまで大統領府は、残り約40日の任期の間、大統領に与えられた人事権を尹当選者に譲歩する考えがないことを明確にした。中央銀行にあたる韓国銀行総裁、監査委員2人、中央選管委の常任委員人事は自分(文)が行うという趣旨だ。

すでに韓銀総裁は、イ・チャンヨン国際通貨基金(IMF)アジア太平洋局長を指名しており、監査委員も1人は必ず自分たちが推薦すると我を張っている。大統領府民情首席室公職綱紀秘書官を務めた李南九(イ・ナムグ)監査院第2事務次長を念頭に置いているという話が出ている。盧武鉉大統領時代、民情首席室で文大統領と一緒に勤務した崔載海(チェ・ジェヘ)監査院長を含め、監査委員4人さえ確保すれば、自分たちの思い通りに監査を阻止することができると計算したのだ。

月城(ウォルソン)原発はすでに裁判中だが、太陽光や風力発電、主要4河川の堰の解体、大統領府の特活費の使用(夫人金正淑の天文学的なアクセサリー代など)などが、すでに主要監査対象に浮上している状況を念頭に置かざるを得ない。

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