このフランス映画の成功を導いているのは、手厚い映画支援の制度があるため。フランスでは1946年に映画産業の振興と統括する組織として、CNC(Centre National de la Cinematographi)が創立された。
CNCは、フランスの映画産業の助成、促進を主な役割とする。具体的な活動内容としては、映画を含む視聴覚産業についての法規定、助成と促進・普及、映画遺産の保護と普及だ。
映画産業への助成については、フランス映画とフランスとの共同制作作品の製作助成、新人監督の発掘と育成、映画館の改築のための費用の助成、地方自治体と共同での助成活動、その他、100以上の映画関連組織や団体への協力や助成を、政府と映画産業とが一体として進めている。
英国も欧州有数の映画大国。2000年代まで、世界市場に占めるシェアは米国、日本に次ぐ3位を維持していた。とくに英国では映画産業が、外貨獲得の手段として経済に貢献している。
また歴史的に、英国では、フィルム政策として、ハリウッドに対抗するための手段としてではなく、ハリウッドからの投資を自国に誘致する方向に舵を取った。
英国でも、1920年代からハリウッドに対抗するために韓国のような外国映画を制限するクォーター制が導入、しかし1980年代のサッチャー政権により廃止され、これによりフィルムの保護、支援政策は大幅に縮小される。
ただ、1990年代のブレア政権以降、映画産業を含むクリエイティブ産業の振興政策がなされた。
欧州では、EU(欧州連合)の映画産業支援プログラム「MEDIA」(メディア)というものがあった。
MEDIAとはフランス語の「Mesures pour encourager le d?veloppement de l’industrie audiovisuelle」の頭文字を取ったもので、映画を中心とする産業の振興を目的とする資金助成プログラムだ。
このプログラムは1991年、巨額の資金を投入して製作されるハリウッドの超大作の影響で欧州映画が市場シェアを失いつつあった時期に立ち上げられた。2007年から2013年末までを対象期間とする予算規模は、7億5,500万ユーロであった。
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