なぜ『鬼滅の刃』が興行収入歴代1位の日本映画産業の未来は暗いのか

 

中国とハリウッドとの結びつきは2016年に始まった。同年10月、中国の実業家ジャック・マー率いるアリババ・ピクチャーズとスティーヴン・スピルバーグのアンブリン・ピクチャーズが共同製作と共同出資契約を結ぶ。

2017年にはパラマウント・ピクチャーズが上海フィルム・グループとHuahua Mediaという中国の映画会社から、10億ドルもの現金出資を受けたことが報じられる。

より強化な結びつきとしては、中国のダリアン・ワンダ・グループが2016年1月に「GODZILLA ゴジラ」の製作で知られる米レジェンダリー・エンタテインメントを35 億ドルで買収したことだろう。

韓国映画の勢いも凄まじい。韓国では1999年に本格的な映画関連法が改正、政府が映画を本格的な経済政策と捉え、映画製作における資本が増えた。

また、スクリーン・クォーター制により自国の映画を保護する施作も取った。この制度は劇場韓国映画を1年の40%に相当する146日間以上、上映することを義務付けたものの。ハリウッド映画に対抗したもので、他にもフランスやスペイン、メキシコなどがこのような措置を取っている。

インドも世界有数の映画大国。2017年のインドの映画製作本数は、1986本、中国(874本)、米国(660本)、日本(594本)を圧倒する。

なぜ、これほどまでインドで映画が多く作られるのか。背景として、家庭におけるテレビの普及がまだ低く、現在でも主要な娯楽として映画が位置付けられていること、あるいはインドが200を超える多言語国家であるため、それぞれ言語が異なる映画を制作する必要があるためだという。

この10年で、アジア市場の存在感は大きくなった。2013年までは北米、欧州、アジア・太平洋地域がほぼ横並びだったものの、2014年以降はアジア太平洋地域が急成長。2016年のアジア太平洋地域の興行収入は149億ドルと、北米の114億ドル、欧州地域の95億ドルを上回った。

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