なぜ『鬼滅の刃』が興行収入歴代1位の日本映画産業の未来は暗いのか

 

アフリカ

アフリカの映画市場の発展も著しい。とくに2015年の年間映画制作本数は、インド(1,907本)に続き、ナイジェリアが997本を記録していた。この本数は、米国の1.3倍となっている。

もともと、アフリカでは旧宗主国のフランスの文化政策の一環として、フランス語圏の西アフリカ地域の一部で映画産業が発展していた。ただ、機材や人材の不足、配給システムの未整備により、庶民の娯楽としては発達せず、映画産業自体も未成熟であった。

しかし、1990年代以降のデジタル技術の発達にともない、低予算で映画の制作と配給ができるようになった時代に入り、アフリカ全土で様々な映画人たちが次々と映画制作に乗り出し、現在にいたる。

そのアフリカでも、最も映画が産業として成り立っているのは、ナイジェリアだろう。アフリカ諸国でもこのナイジェリアは、映画の制作と配給・消費とが一連のサイクルとして大規模に成立した。

ナイジェリアはインドに次ぐ世界第2位の映画制作本数を誇り、なおかつ人口比当たりでは世界1位となり、約6億ドルもの巨大市場を擁するまでに成長した。

今では、ナイジェリアは、米国の「ハリウッド(Haywood)」、インドの「ボリウッド(Bollywood)」と並び、ナイジェリアのNにちなみ「ノリウッド(Nollywood)」とも称されるようになる。

ただ、そのナイジェリアは国内に映画館はわずか33館しか存在しない。しかも入場料が非常に高額であることから、一般市民は映画館に行くことはほぼ不可能であるという。

その代わり、映画は映画館の外側で消費される。ナイジェリアでは1980年代にテレビ視聴が爆発的に普及、街中ではテレビ番組のコピーが売られ、人々はホームビデオとして家庭内でビデオを見ることがブームとなる。

この光景を見かけた映画関係者らが、制作した映画をDVDなどのソフトとして流通させるシステムを構築、結果、市民が日常的に映画に楽しむ習慣がつくられるようになった。

現在も、ナイジェリアでは映画制作後、時を置かずすぐにビデオ化され、人々は街中の売店で映画を購入している。

2013年、ナイジェリアのホームテインメント産業のGDP寄与率は1.4%(米国は3%、インドは0.5%)とされ、大きな経済効果を生んだ。

米国国際貿易委員会の報告(2015年)によると、ナイジェリア映画産業は、農業に次いで雇用を生み出す産業にまで発展。ナイジェリア政策の映画は近年では、アフリカ全土だけでなく、全世界をターゲットに配信の拡大がなされている。

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