なぜ春先は詐欺やマルチ商法に騙されやすいのか?誰でもカモになりうる巧妙なマインドコントロールの手口とは

2022.04.08
by tututu
 

日本人は騙されやすい教育を受けてしまった

そもそそも、私たちは疑うことに慣れていません。これは幼少期や学童期の学校教育から、すでに大きな影響があります。日本での勉強というのは、正解がある問題に取り組むことがほとんどであり、どのように正解にたどり着くかという論理的な思考力を鍛えることに多くの時間が割かれます。

社会にでたら1つの正解に定まらない問題は多数あるのに、学校教育では『それも正解だけど、これも正解だよね』というような、多面的な考え方や多様性を受け入れる教育はまだまだされていないといっても過言ではありません。

とくに、親や学校の先生などの自分にとって権威がある人から『これが正解です』と言われたら、一般的にはそれ以上を考えることはしません。正解と言われたものを、正解と受け取るだけで、ほかにもこのような考え方や捉え方があるのではないかとは考えることはしません。

それは、大人になってからも同じで、誰が書いているかも分からないのにインターネットに掲載されているというだけで“権威あるもの”と捉え、『ネットに載ってるから、それが正解』と考えてしまうのです。

ときには、SNSでいいねの数がたくさんついているだけで、何も考えずに『それが正解』と思い込んでしまう人も少なくありません。それだけ、1つのモノゴトを『本当にそうなのかなぁ』と批判的に吟味したり、疑ったりする経験が圧倒的に少ないのです。

その結果、このような悪徳の集団からコントロールされた情報を与えられて、そのなかの権威者から『これが正解ですよ』と伝えられると、『あぁ、そういうモノなんだ』とそのまま鵜呑みにしてまって、どんどん信じ込んでしまうのです。

このように、私たちは限られた情報を疑うことなく信じやすい動物なんだという自覚をもつところからマインドコントロールされない予防策が始まります。

相手の話を聞いていて『あれ、なんか変な集まりだな』、『聞いていたセミナーとは全然ちがう内容だな』といった自分のなかから生まれるちょっとした違和感を大切にしてください。

それを無視したままだと、ずっと制限された情報のなかで、あなたの思考はどんどんコントロールされていき、その集団から抜け出せなくなってしまいます。

決してマインドコントロールはテレビやドラマの中の話ではなく、あなたの身近に優しい顔で潜んでいるので注意してくださいね。

プロフィール:井上智介(いのうえ・ともすけ)
産業医・精神科医。島根大学医学部をを卒業後、大阪を中心に精神科医・産業医として活動。毎月30社以上を訪問し、一般的な労働の安全衛生の指導に加え、社内の人間関係のトラブルやハラスメントなどで苦しむ従業員への精神的ケアを行う。うつ病、発達障害、適応障害などの疾患の治療だけではなく、自殺に至る心理、災害や家庭、犯罪などのトラウマケアにも尽力。『大雑把に笑って生きる』をモットーに、明るく心が軽くなる話をブログやSNSで毎日発信している。ツイッター、ブログ

image by : shutterstock

print
いま読まれてます

  • なぜ春先は詐欺やマルチ商法に騙されやすいのか?誰でもカモになりうる巧妙なマインドコントロールの手口とは
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け