米国の内部分裂が心配
ウクライナ戦争で、ロシア製兵器の弱点が明確化している。電子装備が貧弱で、情報網の秘密性や敵探査能力の低さなどで、戦争には勝てないことが分かった。
もう1つが、ロシア専制主義はイデオロギーを持たないので、カネの力で権力を維持しているので、汚職が多く、軍備品の転売が多発して、想定通りの軍事的能力がないことである。あるべきものがない。
ロシア軍戦車数は、1万3,000台もあり、400台破壊されてもびくともしないはずが、稼働可能数は3,000台などという。しかし、戦争になれば、修理をするはずで、そのスピードが問題になる。しかし、半導体や電子部品の不足で、電装品が間に合わないようである。そのため、弱点を克服していない。
一方、ウクライナ軍には、敵探査能力やAI能力が高い最新鋭兵器、短距離ミサイル、対艦ミサイル「ハープーン」などの提供が行われるという。英国が供与する「ハープーン」により、オデッサ港を封鎖するロシア艦艇は、大きな被害が出ることが想定できるなど、実態以上に能力差が出てくることになる。
残念なのが、マリウポリであろう。最新鋭兵器が届かずに、ここの防衛は難しいかもしれない。しかし、ロシア軍の犠牲者数も多くなっている。しかし、最新鋭兵器が届く南部ハリコフなどでは、ロシア軍が劣勢になっている。
この状況を見て、クリミア半島からロシアに避難する人が出ている。クリミア半島も危ないとみるロシア人がいるということである。戦況は徐々にウクライナ側に向いている。
このため、ロシア軍の損失が大きいことで、戦局挽回のために、化学兵器や戦術核兵器の使用が心配されている。プーチンも核シェルターにいることが報告されている。これが心配の第1番目である。
次に心配なことがある。仏マクロン大統領は、大統領選挙で極右政党のルペン前党首に迫られている。米国でもトランプ氏がプーチン露大統領にバイデンの息子のロシアでの汚職行動を公開するように依頼して、ロシアの侵略よりバイデンの方が悪いという。
もし、トランプ氏が米国大統領になったら、西側諸国の結束が崩れることになる。ルペン氏もプーチンとは仲が良いので、同様に西側の結束にひびが入ることになる。
というように、西側の諸国でも内部分裂が拡大している。それも米仏という主要国である。
特に米国の内部分裂が非常に大きく、民主党と共和党の価値観が、大きく違う状態になってきた。国内優先の共和党トランプ派対海外・国内の両方を見る民主党と共和党主流派の分裂である。
今後、米仏が国内分裂になると、中国の前面やロシアの前面にいる日本とドイツが西側諸国を引っ張っていくしかない。そのような状況になってきた。
前回も述べたように、経済の時代から戦争の時代になっている。
【関連】プーチン蛮行が引き金に。終わる「米国覇権」と進む「新世界秩序」形成
この時代で必要なことは、敵対国より優秀な兵器を持つことである。アイアンドームを持つイスラエルは、パレスチナからのロケット弾攻撃を完全に防いでいる。このように敵の攻撃に対応した兵器があれば、いつでも攻撃に対し、反撃ができることになる。
国内外の動向をリアリスト(現実主義)の観点から予測・評論する、津田慶治さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ