中国各地で続く買い占め。1日17時間ネットで食料品確保、国民のメンタル崩壊寸前

 

買い占めを終わらせ、ロックダウンを解消させるには?

国民感情を安定させるために、政府が公共メディアにおいて、一貫したタイムリーで透明性のある情報を発表する必要がある。同時に、買い占めによる実害の事例を政府やメディアが民衆に示すことも必要だ。パニックを終わらせる鍵は透明性と政府のタイムリーな対策であり、そうでなければ噂や根拠のない憶測がパニックを激化させるだけだ。

中国政府は、メンツにこだわって政策を変える必要があることを認めないかもしれない。ウイルスと戦うためには、イデオロギーや政治的需要に囚われず、どこの国が採用した経済・生活救済策でも、実際に効果があると証明されたものは参考していくことが必要だ。

民衆の窮状と経済・生活問題を解決する最も根本的な方法は、一刻も早く、より良いコロナ対策を見つけ、社会が一刻も早く活動を再開できるようにすることである。欧米の防疫手法は中国には不向きであるかもしれないが、全国をローテーションで都市閉鎖する現在の方法は、長期的には確実に機能しないだろう。

そのため、ずっと変異しているウイルスの特性や国際的な感染の現状を踏まえ、より国民の要求に沿った、また経済的・生活的な状況に即した防疫方法を模索する必要がある。今回の感染拡大の中、上海で得られた教訓は、中国における次の防疫対策の探求に十分な示唆を与えてくれるはずである。中国製ワクチンはオミクロンに効果が薄そうだったら、海外製ワクチンを導入することも視野に入れてよい。

上海、徹底した封鎖を行っていてもなかなか収束に向かっていないようである。急速に変化する感染態勢を前にして、黒か白か、味方か敵かという二項対立を捨てて、柔軟に対策を講じるべきである。中国のコロナ対策には、より科学的で効果的、かつ経済や人々の生活とバランスの取れたアプローチを見出す必要がある。

この2年間でウイルスはずっと変異しており、現在の上海で流行しているウイルスは、2年前に武漢で流行していたウイルスとは別物であり、上海での都市閉鎖の効果は武漢ほど明らかではないかもしれない。上海の張文宏医師の見解を支持する。「コロナとの戦いが目的ではなく、民衆の生活安定が目的」ということだ。

ウイルスが常に変異している世界では、人間の思考も進化する必要があり、すべての人が意識的に自ら予防する社会の確立が必要だ。新しい感染対策を上海からスタートさせ、そして上海の「解放」を一日も早くきてほしい。

日本と中国の間の「楽話(らくわ)」を評論する黄文葦さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

image by: Shutterstock.com

黄文葦この著者の記事一覧

在日中国人作家。日中の大学でマスコミを専攻し、両国のマスコミに従事。十数年間マスコミの現場を経験した後、2009年から留学生教育に携わる仕事に従事。2015年日本のある学校法人の理事に就任。現在、教育・社会・文化領域の課題を中心に、関連のコラムを執筆中。2000年の来日以降、中国語と日本語の言語で執筆すること及び両国の「真実」を相手国に伝えることを模索している。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 黄文葦の日中楽話 』

【著者】 黄文葦 【月額】 ¥330/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎月 第1月曜日・第3月曜日(年末年始を除く) 発行予定

print
いま読まれてます

  • 中国各地で続く買い占め。1日17時間ネットで食料品確保、国民のメンタル崩壊寸前
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け