中国各地で続く買い占め。1日17時間ネットで食料品確保、国民のメンタル崩壊寸前

 

買い占めの歴史は繰り返している

今の時代、なぜ買い占めをしなければならないのか。権力者の政策は人災を引き起こす要因になっていると言わざるを得ない。歴史は繰り返している。

近代史を振り返ると、パニックによる買い占めが大きな危機を招き、人間社会に大きな弊害をもたらした例が数多くある。

第一次、第二次世界大戦では、多くの国で食糧や医薬品などの必需品の買い占めが起こり、戦争が直接の原因ではない深刻な物資不足の危機が発生した。

1988年、中国での「物価改革」の政策が民衆に明らかにされ、物価上昇に恐れて、各地の民衆の買い占めが起こり、これが、やがて「天安門事件」の勃発につながる民衆の不満の大きな引き金になったと指摘する学者もいる。当方の記憶の中、幼い頃、大人がオイル、塩、米などを買占めしていた。

1999年末、2000年問題、いわゆる2000年になるとコンピュータが誤作動する可能性があるとされた問題で、世の中の人々が供給危機を恐れて、世界各地で買い占めが行われ、必要な物資が不足する危機が発生した。

2003年のSARS流行時には、中国の広東省、海南省、香港で大規模な買い占めが行われた。

そして、新型コロナの感染拡大が始まって以来、世界各地で大小さまざまな資材・食材の買い占めが行われている。

2年前、コロナ感染拡大の初期、世界中、トイレットペーパーを買占め現象が起きた。日本でも例外なく、大勢の人がトイレットペーパーを買占めていた。政府がトイレットペーパーの在庫は不足していないといくら強調しても、買い占めは続く。その時、不思議に思った。

感染症や戦争などに脅かされる現代社会では、人々は無力で、自分と家族を守ることさえできないように見える。トイレットペーパーは、安くてかさばる存在感のあるものだ。それが、すこしでも人々の安心につながるかもしれない。いざというとき、紙があれば尊厳も保てるかもしれない。

そして現在、ウクライナ戦地の人々にはトイレットペーパーがあるかどうか、そういうことを思うと、心が痛む…。

日本と中国の間の「楽話(らくわ)」を評論する黄文葦さんのメルマガ詳細・ご登録はコチラ

 

print
いま読まれてます

  • 中国各地で続く買い占め。1日17時間ネットで食料品確保、国民のメンタル崩壊寸前
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け