ウクライナ戦争で“大儲け”のアメリカ。最も利を得たバイデンの胸中

2022.04.22
 

情報戦で負けたプーチン

ウクライナの善戦は、ひとえに、ロシアがウクライナからの情報発信を制御できなかったことに尽きる。

ウクライナ国内からは、ゼレンスキー大統領をはじめとする政権幹部、そして民間人に至るまで、SNSを通じ、メッセージが動画が国際社会に向けて発信されている。この圧倒的な「メッセージの物量作戦」が、兵力で劣る軍の兵士や国民を鼓舞し、国際社会から支援を取り付けた最大の要因である。

本来であれば、情報戦やサイバー戦はロシアが得意とするものだが、肝心の情報戦で後手に回り、苦戦を強いられている。まさに、ことわざで言う「川立ちは川で果てる」(川に慣れている者は川で死ぬことが多い=人は得意な部分で油断し失敗しやすい)である。

その発信を支えているのが「Starlink」である。これは、人工衛星で宇宙からインターネットに接続できるサービスを提供するシステムで、立ち上げたのは、アメリカの電気自動車テスラや宇宙開発を行う「スペースX」の創業者として知られるイーロン・マスク氏だ。

ウクライナの副首相兼デジタル担当相、ミハイロ・フョードロフが、ロシア軍が侵攻を開始した2日後、Twitterでマスクに「システムを提供してほしい」と呼びかけ、協力が実現したものだ。

人工衛星を介する「Starlink」も、地上の通信機器が標的となれば危ういが、光ファイバーケーブルを陸に揚げ、通信基地と接続する通常のインターネットよりは影響を受けにくい。

31歳と若いフョードロフは、より安全な「Starlink」に目をつけ、ゼレンスキーや国民の発信が継続できるようにした。

「世界は私たちとともにあります。真実は私たちの側にあります」
「私たちは自由のために戦っているのです」

このようなゼレンスキー大統領の言葉の数々も、「Starlink」によって国際社会に向けて発信され、「ロシア=悪、ウクライナ=善」の構図が固まったのである。

そればかりでなく、フョードロフは、「Starlink」のシステムを利用してロシア軍の戦車を攻撃するなど、世界第2位の軍事大国ロシアに真っ向勝負を挑んだのである。

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