わずか0.001%という異常値。“重大事態いじめ”の発生率が低すぎるウラ事情

 

ガイドラインがあるから自動的には大間違い

あまりに問題が多いから文科省がガイドラインを作り、誰でも確認できるようにしても、実質上、学校や教育委員会、私立であれば学校法人などが、このガイドラインを受けて自動的に手続きを進めて、「重大事態いじめ」として進めるケースは良心的な対応であると言わざるを得ない。

通常とまでは言わないが、もしも我が子がいじめの被害を受けても、いじめ認定をされるまでのハードル、重大事態いじめであれば、これが認められるハードルがあり、第三者委員会に調査がまわるまでのハードルなど様々なハードルがあると考えておいた方がいい。

本来であれば、法の手続きやガイドラインといったものがある以上、こども達のためにも、その通りにいじめ対応を進めるべきなのは当然だが、そうしなくても、誰も処分されず、退職してしまえば、謝る必要すらないのが、いじめを取り巻く社会なのだ。

私はこの環境は異常であると思うと同時に、学校社会のみではもはや改善は不可能であろうと感じる。

ユーチューバーに被害者が相談して学校や教委が対応を始めたことがニュースになっていたが、こども達が身近に感じる信頼できる大人が、積極的に関与するなど法やガイドラインを守らせるための作用も必要だろう。

編集後記

いじめ問題を語るとき、重大事態いじめの発生率の異常値に気が付かない専門家は一人もいないと言えます。

これを問題視するか、しないか、それぞれの専門家の立場があることでしょうが、実際に相談や介入を繰り返していれば、いじめ問題についての仕組みが機能不全に陥り、それによってさらに苦しめられてしまう被害者や、事実上の対応をしている保護者も人間不信のその先で、強く苦しめられてしまう現実を目にすることになります。

改めて「この数値は異常値」であると強調するとともに、異常であると認識し、早急な対処をしていく必要があると思います。全国的な問題でもある事から、もはや国が旗を振り、責任をもって動く以外、どうにもならないと思います。

そして、なにか難しいことがあればあるほど、「民間に」という魔法の言葉もやめてもらいたいところですし、困ったらボランティアに頼むという甘えた考えもやめてもらいところです。専門家をボランティアのみで作り出すことは至難の業です。そのボランティアは、何かを犠牲にしていますし、それぞれの立場や環境で志があっても成れない人も多くいます。

一方で「重大事態いじめ」になったら対応が変わるということもありますが、事態を軽んじたり、無かったふりをして回避するというのは、隠ぺい工作を必ずすることになって、結果二次被害を発生させているということを、忘れないでもらいたいところです。

被害者は二度以上苦しむ、そういう被害をもう生み出してはならないと思います。

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社会問題を探偵調査を活用して実態解明し、解決する活動を毎月報告。社会問題についての基本的知識やあまり公開されていないデータも公開する。2015まぐまぐ大賞受賞「ギリギリ探偵白書」を発行するT.I.U.総合探偵社代表の阿部泰尚が、いじめ、虐待、非行、違法ビジネス、詐欺、パワハラなどの隠蔽を暴き、実態をレポートする。また、実際に行った解決法やここだけの話をコッソリ公開。
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