世界一の小売業“ウォルマート”の成功を支えたのは何だったのか。創業者サム・ウォルトンの「1ドルを大切にする」という“熱い志”で、「“私たちの使命”はお客さまに価値を提供することだが、その価値には品質やサービスばかりでなく“お客さまの支出を節約する”ことも含まれる。ウォルマートが1ドルを浪費すれば、それはお客さまの懐に直接響くのである。逆に私たちが1ドル節約するたびに、他社との競争で一歩先んじることになる」。
この思いのもとに「Everyday Low Price(毎日が安売り)」という“徹底した低価格”にこだわった「ディスカウントショップ」という業態を生み出し、圧倒的な支持を受けて世界一になったのです。
「わが社の業績が伸びているのは、私たちが賢いからでも、大企業だからでもなく、お客さまが支持してくれるからだ」と言います。
サム・ウォルトンは「私たちは革新的で、実験好きであり、その結果勢力を拡大していった」と高らかに宣言しているのですが。
「私が他社のどの経営者にもまさっていたのは、頭の良さや決断力や統率力などではない。それは毎日、他社の店を誰よりも多く視察し続けてきたことである」と「セルフ・サービス方式」はその成果の一つで。
また必要な知識(最先端の情報も含め)を得ることに謙虚で、貪欲で、誰に対しても真っ向から「おじゃまして申し訳ありません。私はサム・ウォルトンといいます。アーカンソー州のベントンビルからきたもので、小売業を営んでいます」と挨拶し、それから「私は実は、今の経営状況についてあなたの意見をうかがいたいのです」で知識を吸収します。
「コンピュータ管理システム」「物流センター」の“最先端のシステム”は“ウォルマート”を世界一に押し上げた必須の中核的な要因ですが、この知見は、ウォルトン氏の飽くなき地道な情報収集の賜物です。
また“最先端のシステム”を稼働させるためも含めての最適人材を探し求めて、見つかれば活躍してもらうため強引に引っ張りこむのです。
最後に、雇用に成功した人材に対する処遇について記します。それらの人材について、それぞれ部門の権限を全面的に委譲します。
しかし、それを実践する段になって、予算を大盤振る舞いすることはなくケチり渋りで、おもしろいのは結果良しで担当者はその制約の中で、最高の知恵を発揮して、よりレベルの高い成果を実現させているのです。
今回、結論としてあなたに言いたいのは、世界一になるには、絶対に必須なのは「高みに登る意思と知恵」「やる抜く意欲」であるということで、これがあれば他は得ることができ、この二つがないのなら、やがては必ずこけます。稀有な二つを持てたなら、いずれかの頂点かを極めらるということです。
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