まるで日本の学徒出陣。プーチンが少年兵投入まで検討し始めたロシアの惨状

 

今は、ドネツ川東部のセベロドネツクやリマンなどで、ロシア軍は攻撃しているが、小規模で、目標も限定的となり、中隊規模の作戦にシフトしてきた。ドネツ川東岸をロシア軍は押さえたいようである。この攻撃のために、主力のウ軍をイジューム方面にとどめておく必要もある。イジュームのロシア軍は、ウ軍のマリウポリ守備隊と同じような役割なのであろう。

このように東部でもロシア軍は劣勢になり、徐々に攻撃範囲を狭めて、ルガンスク州のドネツ川東岸を取る方向に攻撃目標をシフトさせたようである。第2段階の目標は、ルガンスク州とトネツク州全体の支配と南部でしたが、今の時点では、トネツク州全体の支配を諦めたようである。

反対に、ウ軍が攻撃に転じて、ロシア軍を引き止める必要がなくなり、任務終了とマリウポリの製鉄所からアゾフ連隊を含めてウ軍兵士1908人が投降した。ロシアが完全に勝利し、ここにいたロシア軍を転戦させた。

もう1つ、東部でのロシア軍VKSの戦闘機の活動が鈍くなってきた。この原因の1つに、NATOのAWACS早期警戒機が戦闘機を伴って、ウクライナ上空での監視をして、東部のロシア軍の動き、特に航空機の動きをウ軍に情報提供して、防空活動をしているので、低空飛行でも確認され攻撃されているからのようである。もう1つが、エンジンの消耗で交換部品が欠乏してきたからのようだ。

ロシア軍東部部隊は航空支援をほとんど期待できない状態になってきた。逆にウ軍は8月にはF-16Vの訓練が終わり、実戦投入になるので、航空戦力でもウ軍の方が優位になる。

ハルキウの近郊では、高速105号線をロシア国境に向けて、ウ軍が前進して、ロシア領の東部補給基地であるベルゴルドへM777榴弾砲やP2000自走砲で攻撃できる距離までロシア軍を追い出した。

これに比べて、南部はロシア優位でロシア編入を進めている。この地域はクリミア半島の後背地で水などの供給などで、必要な地域であるからだ。ここでの戦いは、ウ軍は特殊部隊が中心で鉄道橋の破壊や武装列車などの爆破など、パルチザン活動である。

ウ軍主力は、今は東部地域であるが、ウ軍のレズニコフ国防相は、ヘルソンの奪還に向けた戦いを開始すると述べて、この方面でも攻撃を強化するようである。

そして、ロシア軍の損害は、当初戦力の30%を失ったという。戦死者が3万人に迫り、3倍の負傷者がいるとすると、既に12万人規模の戦闘不能者がいることになる。このため、兵員不足になり、志願兵の年齢制限40歳を撤廃して、兵員を募集し始めている。

その上、5月16日の集団安全保障条約機構(CSTO)会議でも、CSTO諸国(ベラルーシ、アルメニア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン)のロシアへの協力を取り付けられなかった。どこもウクライナ派兵をしないとした。

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