いじめ探偵が告発。被害者への誘導尋問がバレた「教師の呆れた一言」

 

その上で、顧問はA君への聞き取りでは、誘導尋問を仕掛けたのだ。

顧問 「BやC(主体的に暴力をふるっていた先輩)が、君に厳しく対応したのは、君がレギュラーになりたいと言っていたからだとは思わないかな?」

A君 「思いません」

顧問 「そうか、でもさ、体ができていないとケガをしたり、他の経験者とは差が出るじゃない、だから、厳しく感じたかもしれないけど、まずは体つくりからだと思ったというのは、ちょっとはわかるんじゃない?」

A君 「まあ、そう言われれば、そうかもしれないですけど」

顧問 「だよね。そう思うよね」

これは、教員など教える側がよくやりがちな会話法であり、「見方を変えれば、こう考えられないか?」「少しはそう思えないか?」という視点を変えて、見解を変更させたという形を作ってしまう。

結果、こうした質問と変更しただけの見解をもって報告内容を誤魔化し、保護者にこう言うのだ。

「こどもは学校での顔と家での顔を使い分けます。お母さんから聞いた話と息子さんの話は一致していないこともあって、大事にしないようにするのがいいですよ」

今回、予告なく聞き取りをA君は受けることになったが、これまでの経験から、私からはもしかすると、大したことはなかったというように印象操作をするような報告書を作るための質問をぶつけられるかもしれないという話と、その場合は、「今思えばではなく、正確にそのとき、どう感じていて、今結果としてこうなっています」ということをちゃんと話そうということだけは少しシミュレーションしていた。

立場に差がある者が行う聞き取り調査の場合は、立場が強い側が質問者になると、強者が欲しい方向に展開していくことが可能になる。

質問者は場をコントロールする支配力を持つのであって、回答者である弱者は強者のさじ加減で、どうにでもされる可能性があるのだ。

特にいじめの場合、加害者側はこの質問者に挑発的に対抗したり、根拠なくしていないと拒絶姿勢を示したり、黙秘をして困らせるということもできるが、救いを求める被害者はより事態を正確に把握してもらいたいという思いから、質問に従順に答えるようになりやすい。

つまり、質問者にとって被害者はコントロールしやすい相手になるのだ。

だからこそ、もしも、抵抗できないかもというときは、きっと録音は厳禁だと告げられるだろうが、構うことはない、録音してあとで教えてくれという話をしておいた。

結局、A君は聞き取りのために授業中に呼び出されたときに、2台持っていたICレコーダーの内、1台の電源を落とすふりをして、靴下と脛の間に仕込んだレコーダーは録音状態のまま、これに応じたのだ。

当然、提出資料には録音内容もあったから、聞き取りをする教員は、「録音は厳禁だから」「録音したら盗聴で訴えるかも」と脅しを入れてきたのだ。

録音をしていなければ、本件は学校の調査でもみ消されていただろう。

録音があったから、ここでの詳細な事態がわかることになり、しっかり分析をして、決めつけた前提ある質問方法や後から印象操作のため見解を変えさせて、なんとなく被害者本人に同意させるというやり方で、実際は大したことなくて、親が騒ぎ過ぎなのだという結論にしようとする手口を暴くことができた。

当然、後日録音があったことを顧問は知ることになり、「そんなの無効だ!」と抵抗はしてきたが、そんな言い訳を聞く余地もないだろう。

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