そして、「岸田平和人権基金」を設立する。「岸田平和人権基金」は、アフリカや中東、アジアなど世界中の全ての人権侵害問題を援助の対象とし、元従軍慰安婦や元徴用工への援助は当然これに含まれることになる。金額は、慰安婦問題解決の基金10億円の10倍の規模である「100億円」とする。日本政府および趣旨に賛同する企業が資金を拠出する。
さらに、「平和の人間像」を日本がつくり、世界中に設置する。現在の慰安婦像は「女性の人権を守るための像」ではある。しかし、その対象は「過去、戦時に人権侵害を受けた韓国人女性」を事例として限定したものだ。それでは、対象が狭いのではないだろうか。
「平和の人間像」は、世界中の男女・LGBTを問わず全ての人に対する人権侵害問題を完全解決することを宣言する像とする。そして、全ての人々を対象とするのにふさわしい、抽象的な造形とする。
「平和の人間像」の第一体目は、ぜひソウル市の「青瓦台」の前に設置させてもらおう。像の除幕式では、尹新大統領と岸田首相ががっちりと握手をして、両国が世界の人権侵害の歴史の終焉と、現在の人権問題の完全解決を高らかに宣言するのだ。
この時、従軍慰安婦問題・元徴用工問題は確かに終わる。「日本が不誠実」という韓国の主張が崩れるのを世界が見ることになるからだ。一方、韓国はこれを嫌がるかもしれない。だが、嫌がれば韓国は「人権意識の低い国」ということになる。慰安婦像の設置は「単なる反日のための行動」であったと、世界中から批判を浴びることになってしまうのだ。
要するに、「国際世論戦」において、従軍慰安婦問題や元徴用工問題の細かな事実関係を争っても、あまり意味がない。韓国など一部の国を除けば、海外の人たちは、日本の過去についての事実関係などどうでもよく、関心があるのは、現在の「人権問題」なのだ。
これは言い換えれば、日本が過去の「大日本帝国」の誇りを一生懸命守ろうとしても意味がないということだ。そういうことをすればするほど、いまだに人権意識の低い国だと「現在の日本」の評価が下がることになる。
本当に守るべきことは、「現代の日本」の誇りである。そのためにすべきことは、すべての日本国民、そして世界中の人々の平和と基本的人権を、日本が徹底的に守る国だということを示すことなのである。
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