プーチンは、世界的食糧危機を誘発する
ウクライナ侵攻で、エネルギー価格と食糧価格の値段が世界的に高騰しています。日本も少なからず影響を受けています。そして、もっと深刻な問題が起こる可能性が日々高まっています。英エコノミスト誌5月21日を見てみましょう。
戦争のために脆弱な世界が大飢饉に陥ろうとしている。この事態の収拾は世界全体の問題だ。
ウクライナに侵攻したことで、ウラジーミル・プーチン大統領は戦場から遠く離れた人々の暮らしを破壊する。それも自分が後悔するかもしれないほどの規模で、だ。
今回の戦争は新型コロナウイルス感染症、気候変動、そしてエネルギー・ショックによって弱体化していた世界の食糧供給システムに大きな打撃を与えている。
ウクライナからの穀物や油糧種子の輸出はほとんど止まり、ロシアのそれも脅かされている。
ちなみに、ロシアは小麦輸出国世界1、ウクライナは5位です。
国連のアントニオ・グテレス事務総長は5月18日、何年も続く恐れのある「世界的な食糧不足の影」が向こう数カ月で姿を現すと警鐘を鳴らした。
すでに、必需食品の高騰は、十分な食べ物が入手できるかどうか分からない人の数を4億4,000万人増の16億人に押し上げている。
飢饉の瀬戸際に立たされている人も2億5,000万人近くに上る。
(同上)
もう少し、具体的な話をしましょう。
なぜ、ウクライナは、穀物を輸出することができない状態なのでしょうか?ロシアが、オデッサを海上封鎖しているからです。共同5月29日。
黒海に面し、ウクライナの主要な食料輸出港を抱える南部オデッサのゲンナジー・トルハノフ市長が28日、共同通信のインタビューに応じた。「市を包囲されるような事態は絶対に避けなければならない」と要衝防衛の決意を表明、黒海沿岸の港湾活動の妨げが世界的な食料危機を引き起こしかねないとして、ロシアによる海上封鎖を批判した。
つまり、これから世界的食糧危機が起こるとすれば、「プーチンのせいで起こった」といえるでしょう。
マクロンとショルツは、プーチンとの電話会談で、世界的食糧危機を回避するために、オデッサの封鎖を解くように説得しました。プーチンは、どう答えたのでしょうか?BBCニュース5月29日を見てみましょう。
マクロン氏とショルツ氏は加えて、ウクライナに滞留する穀物を国外へ出荷できるようにするため、黒海に面するオデーサ港の封鎖解除をプーチン氏に求めた。
ロシア政府によると、プーチン氏は世界的食糧危機の危険に取り組むため可能な選択肢を検討すると答えたものの、まずは西側がロシアへの制裁を解除するよう要求した。
プーチンは、「西側がロシアへの制裁を解除してくれたら、オデッサ港の封鎖解除を検討してもいい」といった旨の回答をした。つまり、彼は「制裁を解除しなければ2億5,000万人が餓死することになるが、それでもいいのか?」と脅迫しているのです。
これから世界的食糧危機が起こる可能性があります。私たちは、「誰のせいで世界的食糧危機が起こるのか」をはっきり知っておく必要があるでしょう。
(無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』2022年5月30日号より一部抜粋)
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