オンキヨーHEが破産申請をしても「オンキヨー」の名前が残る2つの会社
これまでオンキヨーHEが破産申請を行うに至った経緯を会計とファイナンスの視点から見てきました。オンキヨーの破産の報道がなされた時、SNS等では「オンキヨーがなくなることに対して悲しいと感じる」等といったコメントが多数ありました。
確かにオンキヨーHEという会社はこの世から残念ながらなくなります。けれども、「オンキヨー」の名前が付く会社と事業は少なくとも現時点では2つ残ります。
一つ目は、2021年9月にシャープとVoxx社に譲渡が完了したホームAV事業です。図表8にあるように、オンキヨーHEのホームAV事業をVoxxとシャープが合弁で設立したオンキヨーテクノロジー株式会社に譲渡しました。株主は変わりましたが、「オンキヨー」の名前はまだ残る予定です。
図表8 オンキヨー ホームAV事業の譲渡スキーム
もう一つは3代目の「オンキヨー株式会社」です。3代目の「オンキヨー株式会社」は、図表4にあるように主にオンキヨーHEが行っていた新規事業を担っていた事業を引き継いだ会社です。この3代目のオンキヨー株式会社の株式は、MBOを通じて、TK-FUND合同会社に譲渡されました。その後、三代目のオンキヨー株式会社は、東証プライムに上場する、機能性食品素材の開発・販売を手掛ける株式会社ファーマフーズに対して、第三者割当増資を施し、株式会社ファーマフーズの持分法適用関連会社になっています。
図表9 3代目オンキヨー株式会社MBOスキーム
オンキヨーテクノロジーも三代目のオンキヨー株式会社も、今回破産申請を行ったオンキヨーHEとは資本関係は全くありません。そのため、今回の破産も直接的には大きな影響はありません。
長年オーディオファンを中心に愛されたオンキヨー。今回の破産申請を通じて、創業から引き継がれてきた直系とも言えるオンキヨーHEはなくなることになりますが、オンキヨーの名前が残る会社は2つ残りますし、AV事業では引き続きオンキヨーブランドが使われると言われています。存続する会社は変わるものの、日本を代表する世界的な音響メーカーだったオンキヨーの今後の活躍に期待したいものです。
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