なぜオンキヨーは経営再建ではなく、いきなり「破産申請」を選択したのか?

2022.06.02
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実は有利子負債は少なかったオンキヨーHE

図表1や図表2にあるように、ここ数年売上は右肩下がりで、経常的に赤字の状況でしたが、オンキヨーHEの経営陣は何を重要指標として経営をしていたのでしょうか。実は、オンキヨーHEは売上も利益も目標にしてはいませんでした。目標にしていたのはネットデットです。ネットデットとは、借入金や社債のような有利子負債から現預金を控除した値です。事実、有価証券報告書の「3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】」の箇所には2017年3月期から、次のような記載が書かれています。

(3)目標とする経営指標
当社グループは、キャッシュ・フローの最大化を目指して経営を進め、当面の目標として有利子負債から現金及び現金同等物を控除したネットデットをゼロとすることを目標といたします。この目標を実現するため、グループ全体での的確な市場予測に基づく生産・販売・在庫計画の精度向上を推進するとともに、他社との協業をさらに深化させることによる新しい価値提案と固定費の削減を両立させるべく目標達成に取り組んでまいります。

この経営指標自体は順調に達成されてきました。図表6は、オンキヨーHEの有利子負債とネットデットの推移を示したものです。直近の2021年9月時点(2022年3月期上期)におけるネットデットはわずか1.8億円です。この期における売上高は、35億円だったこともあり、ネットデットは経営目標の通り、かなり少なかったといえます。

図表6 オンキヨー 有利子負債及びネットデット

出所:オンキヨーHE 有価証券報告書を参考に筆者作成

出所:オンキヨーHE 有価証券報告書を参考に筆者作成

経営指標をネットデットのみにするというケースはあまり見たことはありませんが、ファイナンス的な視点からみるとネットデットを経営指標に置くということ自体は合理性があります。というのも、企業が倒産するケースの多くは、借入金を中心とした有利子負債があまりに大きくなりすぎて返済が滞ってしまうからです。このようなケースでは、経営破綻をした企業は会社更生や民事再生を通じて有利子負債を大幅にカットして経営再建に取り組むことが多いです。

他方、オンキヨーHEは、ネットデットを経営指標にすることで、ネットデットの残高をうまくコントロールし、2021年9月末時点では1.8億円というわずかなネットデットしか有していませんでした。

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