離婚するにもお金がかかる。意外と知らない費用の中身、年金分割はそんなにおいしい話じゃない

2022.06.21
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離婚時の年金分割はそんなにおいしい話ではない

さらに、年金も2人で分けることができます。会社員・公務員として働く夫(妻)とその妻(夫)が離婚した場合に、婚姻期間中の厚生年金の記録を夫婦で分け合うことができます。これを年金分割といいます。

たとえば、会社員の夫と専業主婦の妻が離婚しても、妻は老後に国民年金しかもらえないとなると、妻の生活が苦しくなってしまいます。共同で生活していたのに、離婚すると年金に格差が生まれるのは不公平ということで、この制度が生まれました。

年金分割には、合意分割と3号分割の2種類があります。

合意分割は文字どおり、年金を夫婦の合意によって分割する制度。婚姻期間中の厚生年金の記録の最大2分の1にあたる部分を分割することができます。分割の割合は、少ない側(分けてもらう側)の上限が50%と決められていますが、実際、多くが50%ずつ分割しています。

一方、3号分割は、夫婦の合意がなくても、第3号被保険者だった期間の厚生年金の記録の50%を分割できる制度です。離婚した夫婦にとっては、3号分割のほうが都合がいいと思われるかもしれません。しかし、3号分割で分割できる記録は、制度がスタートした2008年4月以降のもののみ。婚姻期間がそれ以前からある場合は、分けてもらう記録(増える年金額)が少なくなってしまいます。

3号分割と合意分割は両方とも請求できます。2008年4月までは合意分割、4月以降は3号分割とすることも可能です。

厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、年金分割を受ける側の年金額の月額平均(国民年金を含む)は、分割前が5万1585円、分割後が8万2358円ですので、3万円ほど増えています。

年金分割で分けられる年金は厚生年金のうち婚姻期間中に保険料を支払った部分のみ。婚姻期間外の厚生年金や、国民年金は分割できないため、単純に「相手の年金が半分もらえる」わけではないことに注意しましょう。

金額が少額であっても、離婚後に年金が増やせそうであれば、分割をしたほうがいいでしょう。請求期限は離婚翌日から2年以内。とくに合意分割の場合は夫婦(元夫婦)で一緒に年金事務所に行くか、合意を証明する書面(公正証書や年金分割の合意書など)を提出する必要があるので、早めに手続きしましょう。

なお、同じ年金制度でも、iDeCoや企業型確定拠出年金(企業型DC)は年金分割の対象外となります。

離婚後の収入や支出のことも考える

離婚をすると、世帯の収入が減るだけでなく、新たに家賃・食費・水道光熱費などといったさまざまな生活費もかかるようになります。引っ越しをするのであれば、引っ越し費用や新しい家具などの費用も必要です。

こうしてみると、お金がないのに離婚すると、すぐに生活が立ちいかなくなるのは明白。まず手元に最低限の資金がないなら、自衛のために用意しましょう。

専業主婦(夫)の方や収入が少ない方は、手に職をつけるなどして、お金を稼げるようにしましょう。また、ひとり親の場合、「児童扶養手当」「ひとり親控除」といった公的支援を受けることも可能です。

離婚は感情的にするのではなく、冷静に考えて、計画を立てて行うことが、先々の生活を安定させるうえでも重要です。

プロフィール:頼藤太希(よりふじ・たいき)
Money&You代表取締役/マネーコンサルタント
慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職へ。マネーコンサルタントとして、資産運用・税金・Fintech・キャッシュレスなどに関する執筆・監修、書籍、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。『はじめてのFIRE』(宝島社)、『1日1分読むだけで身につくお金大全100』(自由国民社)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)など著書多数。日本証券アナリスト協会検定会員、ファイナンシャルプランナー(AFP)、日本アクチュアリー会研究会員。

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頼藤太希

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