今度は明徳義塾でパワハラ告発。空手部監督が部員を暴行、ウサギ跳び1000回で骨折&平手打ちで失神の異常指導

2022.06.07
by たいらひとし
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全国の高校スポーツ部のパワハラ告発が止まらない。今度は強豪の野球部などでその名を知られる高知県の明徳義塾高校で起きてしまったようだ。「稽古で泣いて、試合で笑う」がモットーの明徳義塾空手部。だが実際には監督の暴力的指導が原因で試合にも出られないまま、泣いて学校を去る生徒も多かったという。 

「ウサギ跳びで骨折」昭和から変わらない旧態依然の指導

甲子園の常連校として知られ、相撲では朝青龍や琴奨菊、ゴルフでは松山英樹、横峯さくらなどを輩出しているスポーツの名門・明徳義塾中学校・高等学校。高知県須崎市の海と山に囲まれた学校に、約千人の生徒が寮生活をしている。

そんな明徳義塾の空手部で監督の体罰に耐えられず退学になった生徒の告発が6月7日のFLASHで報じられている。

記事によると、他県の強豪校の選手だったA君は2020年にコロナ禍でも練習できる場所を求めて、明徳義塾に編入。しかし、空手部を指導する監督は初日から、A君にウサギ跳びとバービージャンプを約1000回を命じたという。

ご存知の通り「ウサギ跳び」は「巨人の星」や「柔道一直線」など、1970年代まで日本で普及していた基礎トレーニングだが、現在では運動効果がないばかりか、故障の原因になると分かり、多くのスポーツ指導では禁止されている。しかし、明徳義塾の空手部ではまだ残っていたようだ。

さらにA君を苦しめたのは、監督が些細なことで怒ったときの罰ゲーム。ウサギ跳びやバービージャンプを50回など、脱落者が出るたびにゼロからやり直しさせられた結果、A君は両脚の腓骨を骨折。骨折が分かった後でも監督はA君に上半身の筋トレを命じていたという。

他にも、平手打ちされて失神するなどの暴行を監督から受けたA君は、今年の4月明徳義塾高校に進学したものの、1週間で登校拒否状態になり、4月末で自主退学したという。

ちなみに、当事者である空手部の監督は2013年にも生徒への暴力を行ったとして、監督を解任されている。しかし、ほどなく復帰を果たしていたようだ。

前回の解任、復帰の経験から、パワハラを行っても、どうせすぐに復帰できるという「確証バイアス」を持っているのかもしれない。

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指導者のパワハラが横行する学校の共通点

秀岳館サッカー部、横浜高校野球部などパワハラの告発が相次いでいるが、パワハラが横行する運動部にはいくつかの共通点が見られる。

それはいずれもスポーツの実績が目立つ名門校で、学校運営側でも注意することができないほど監督に絶対的な権力があることだ。

さらに、全寮制で常に指導者と部員が近くにいて、外部からの目が届かない閉鎖空間にあること。明徳義塾は「24時間教育」と銘打っているが、寮生たちは常に指導者から監視されているような生活を送っている。その上、閉鎖空間であるがために、生徒間のいじめや暴力にも発展しやすく、発見されにくい。

厄介なのは現在の指導者が同じように旧態依然の暴力的な指導を受けて、現在の立場になっている点が挙げられるだろう。

「俺もこの地獄のような指導を乗り越えてきたら、今のようになれた」そうした強い信念を持っているため、そう簡単に指導を変えたりしない。その指導方法で大会でも結果が出てしまうので、さらにその信念が強化され、暴力指導の連鎖がいつまでたっても終わらなくなる。

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部活動におけるパワハラで被害に遭うのは生徒たち。学校や指導者の考えを根本的に変えない以上、同様のケースはこれからも散見されることになるだろう。

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